東京ヤクルトスワローズ 髙津流マネジメント2025

髙津監督が苦悩の胸の内を明かす――
山田哲人の起用にこだわる理由

リーグ2制覇達成から、2年連続5位に沈んだ東京ヤクルトスワローズ。怪我人は絶えず、投打ともに大不調にあえぎ、指揮官髙津監督も大いに苦しむこととなった。
今シーズン「捲土重来」というスローガンを掲げた髙津監督は、どんなビジョンでチーム再建を図るのか。本連載では、今年もインタビュアーに長谷川晶一氏を迎え、復活にかける髙津監督のマネジメント術をお届けしていく。

(インタビュアー:長谷川晶一)

――さらなる猛暑、酷暑が予想される7月になりました。チーム状況がよくないと、ファンの中にはいくつかの疑問、もっと言ってしまえば、不満が噴出します。その代表的コメントとして、「成績不振の山田哲人、中村悠平の起用にどうしてこだわり続けるのか?」という声があります。同時に「ここまできたら、若い選手にどんどんチャンスを与えた方がいいんじゃないか?」という声も目立ちます。この点については、どうお考えですか?

髙津 そうですね……。なかなか勝てないことに対して、ファンの方が残念に思ったり、ときには文句を言ったりすることは、それはもうプロ野球なので、あって当然だと思います。その点については申し訳ないと思います。そして、先ほどの質問に対しての答えとしては、「勝とうと思ってやっているから、山田や中村を使う」ということになります。要は、彼らの代わりの選手がいないんです。

――たとえ不振の山田、中村両選手であっても、彼らを凌駕するような若手選手が育っていないということですか? 

髙津 そうです。もちろん、例えば打率2割前半の山田や、1割台の中村を使わなくてもいいんです。だけど、それにとって代わる選手も数字が低いです。数字に表れるリアルな成績があまり変わらないのなら、少しでも勝利の可能性を高めるために、数字に表れないもの、例えばチームを引っ張っていってくれる選手、大きなミスをしない選手を使った方がいい。それが、僕の考えです。たくさんチャンスはありました。たくさん打席にも立たせましたが、使い続けるにはもっと時間が必要だとも思いました。

――ベテラン選手を上回る突出した成績を残しているのならば、若手を起用する。けれども、現状はそうなっていないということですか?

髙津 要は、代わりを務めることのできる選手がいれば必ず使います。山田、中村よりもいい選手がいれば必ず使います。それは、勝つためには当然のことですから。もちろん、これからペナントレース中盤、終盤になってくると、来年以降のことも考えて、多少のことは目をつぶって若い選手を使っていくことがあるかもしれない。けれども、少なくとも6月の段階では、その考えはまだ持っていませんでした。7月もそうです。

――例えば、2022年に長岡秀樹選手がレギュラーに定着していく過程は、ショート以外の他のポジションはガッチリと固まっていました。しかし今は、ベストメンバーを組める状況にない。例えば、山田選手に代わって若手選手をずっと使い続けるような、かつての長岡選手と同じような起用はできないということですか?

髙津 例えば数字的には(山田)哲人も、他の選手も打率だけで見ればそれほど大差がないかもしれない。でも、打席での内容を見ると、もう明らかに違います。あまり詳しいことは言えないですけど、チーム内で「こうしてやっていこう」という決め事があるんですけど、それができなかったり、すごく消極的になったり、まだまだ自分の役割、立ち位置というものを理解していなかったり……。打った、打たないだけでは判断しません。

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プロフィール

髙津臣吾
髙津臣吾

1968年広島県生まれ。東京ヤクルトスワローズ監督。広島工業高校卒業後、亜細亜大学に進学。90年ドラフト3位でスワローズに入団。93年ストッパーに転向し、20セーブを挙げチームの日本一に貢献。その後、4度の最優秀救援投手に輝く。2004年シカゴ・ホワイトソックスへ移籍、クローザーを務める。開幕から24試合連続無失点を続け、「ミスターゼロ」のニックネームでファンを熱狂させた。日本プロ野球、メジャーリーグ、韓国プロ野球、台湾プロ野球を経験した初の日本人選手。14年スワローズ一軍投手コーチに就任。15年セ・リーグ優勝。17年に2軍監督に就任、2020年より現職。

著書

明るく楽しく、強いチームをつくるために僕が考えてきたこと

髙津臣吾 /
2021年、20年ぶりの日本一へとチームを導いた東京ヤクルトスワローズ髙津臣吾監...
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