リーグ2制覇達成から、2年連続5位に沈んだ東京ヤクルトスワローズ。怪我人は絶えず、投打ともに大不調にあえぎ、指揮官髙津監督も大いに苦しむこととなった。
今シーズン「捲土重来」というスローガンを掲げた髙津監督は、どんなビジョンでチーム再建を図るのか。本連載では、今年もインタビュアーに長谷川晶一氏を迎え、復活にかける髙津監督のマネジメント術をお届けしていく。
(インタビュアー:長谷川晶一)
――交流戦も全日程が終了し、今日からはペナントレースが再開しますが、改めて交流戦の総括をお願いします。
髙津 交流戦最下位という結果に終わってしまったけれど、それでも、「ガッツリやられたな」とか、「手も足も出なかったな」という感じはしないんです。ただ、明らかに「レベルが高いな」と感じるチームもあったし、セ・リーグとは違う戦い方、セ・リーグにはいないタイプのピッチャーもいましたね。

――北海道で3連敗を喫した北海道日本ハムファイターズは本当に強かったですね。
髙津 ファイターズはやっぱり強いなと思いましたね。長打力がすごく、ホームランがクローズアップされていますけど、非常にチームとしてのバランスがよかったです。打線の繋がりもいいし、足を絡めた攻撃もできる。ピッチャーに関しても、パワーピッチャーから技巧派から、先発もリリーフも、右も左も、非常にいいチームバランスでした。
――思えば2022年、神宮でのファイターズとの交流戦は、村上宗隆選手や山崎晃大朗選手のサヨナラホームランなど、攻守にわたってスワローズの強さが目立ちましたが、あれからわずか3年でここまでのチームに生まれ変わるというのは、今後のスワローズにとってのモデルケース、いいお手本になるのではないですか?
髙津 多くの人から、そういう意見を聞きますね。実際にファイターズのケースを見ると、あの当時からファームにもすごくいい選手がそろっていましたよね。若くて荒削りなところもあるけど、すごく球が速いとか、すごくボールを飛ばすとか。しっかり育成した選手が今の中心選手になった感じがする。以前、調べたことがあるけど、ジャイアンツやホークスのようにたくさんの育成選手を抱えているわけでもなく、スワローズと比較しても選手の人数に大差はない。そういう意味では、普通にドラフトやトレードで選手を獲得するスカウティング、編成ビジョン、その後の育成術が非常にうまくいっているんだと思います。