東京ヤクルトスワローズ 髙津流マネジメント2025

交流戦、屈辱の最下位――
最悪のチーム状況で指揮官はどう戦ったのか

ファンに対して、ファームに対して申し訳ない思いでいっぱい

――さて、いよいよペナントレースが再開します。現状では5位のドラゴンズとの差も開いている中で、どのようにモチベーションを定め、目の前の1戦、1戦に臨んでいく考えですか?

髙津 話がちょっとずれちゃうかもしれないですけど、今、「非常に申し訳ない」と思っていることが2点あります。1つは、なかなか勝てないことで、ファンのみなさんに悔しい思いをさせてしまっていること。そしてもう1つは、ファームがチームとして機能してないことです。ファームだからこそ、勝つ喜びや、負けた悔しさを学んだりすることが大切なのに、それができていない。勝負で得られる精神的な育成もできない。一軍がこういう状況になってしまって、ファームのチーム編成に多大な迷惑をかけてしまっています。ファームも苦しい戦いが続いていますけど、その点について、スタッフとか選手とか、「本当に申し訳ない」という気持ちが強いです。

――多くの選手が一軍に駆り出されることによって、ファームもなかなか白星をつかむことができていないのが現状です。

髙津 先ほどの質問に戻ると、正直、今一軍で戦っている選手はもちろん、現場の人たちは100%の力じゃない、120%の力を出して頑張っていますよ。 ですから、個々の選手としては、もちろん今からどんどん成長してほしいし、もっともっと引き出しを増やしてほしいとは思っているけど、現状では毎日を全力で過ごしているところなので、ケガをすることなく毎日を過ごしてほしい。その思いがいちばんです。あとは僕らが指揮をとる中で、作戦であったり、選手起用であったり、何とかチームが勝つようにコーチと相談して毎日全力を尽くす。そんな思いでこれからの試合に臨みます。

――「100%ではなく120%の力」ということは、本当にみんながギリギリの状態で、ともすれば故障のリスクとも背中合わせとなります。適度な休養も挟みつつ、コンディショニングに対するケアが、さらに重要になります。

髙津 もちろんです、もちろんです。実は交流戦ラストのバファローズ戦ではリリーフピッチャー10人を登録しました。これは異例の事態です。長いこと野球をやっていて、リリーフピッチャー10人を登録したことはないですから。そのぐらい現場はギリギリでやっているということです。そしてそれによって、ファームにもまた迷惑をかけてしまう。とにかく誰もが大変な中で必死に頑張っています。

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プロフィール

髙津臣吾
髙津臣吾

1968年広島県生まれ。東京ヤクルトスワローズ監督。広島工業高校卒業後、亜細亜大学に進学。90年ドラフト3位でスワローズに入団。93年ストッパーに転向し、20セーブを挙げチームの日本一に貢献。その後、4度の最優秀救援投手に輝く。2004年シカゴ・ホワイトソックスへ移籍、クローザーを務める。開幕から24試合連続無失点を続け、「ミスターゼロ」のニックネームでファンを熱狂させた。日本プロ野球、メジャーリーグ、韓国プロ野球、台湾プロ野球を経験した初の日本人選手。14年スワローズ一軍投手コーチに就任。15年セ・リーグ優勝。17年に2軍監督に就任、2020年より現職。

著書

明るく楽しく、強いチームをつくるために僕が考えてきたこと

髙津臣吾 /
2021年、20年ぶりの日本一へとチームを導いた東京ヤクルトスワローズ髙津臣吾監...
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