米国のシャヒーン上院議員とマコーネル上院議員が昨年12月22日付けワシントン・ポスト紙への寄稿において、ウクライナ戦争が長引いているのはプーチンが決定的勝利を収められないからで、米国は、ウクライナが勝てないなどと思い込まずにウクライナを明確に支援すべきだ、と論じている。要旨は次の通り。
バイデン大統領が最初にウクライナに要請された時に戦闘機、防空装備、長距離兵器等を供与していたら、ウクライナが決定的勝利をおさめ、永続的平和を獲得していた可能性は十分ある。
結局、これまでの米国の支援は遅すぎた上に、少なすぎた。こうした米国の躊躇はプーチンの侵略を長引かせた。
トランプ大統領は、前任者が2022年に犯した間違いを繰り返してはならない。
ロシアは途轍もない経済的代償を払いつつある。エネルギー・インフラが攻撃されたために、石油・ガス収入は30%以上も減少、ロシア企業のおよそ4分の1は破産するか、破産のリスクを抱えており、ロシアは経済的に苦しい状況にある。ただ、戦争を長引かせることはできる。
プーチンは戦略としてではなく、決定的勝利を収められないために戦争を長引かせている。プーチンは、時間稼ぎが西側に亀裂をもたらすと期待している。
こうした中、米国は欧州の同盟国と連帯すべきだ。平和の経済的果実があるとしたら、それは経済的に破綻した遅れたロシアではなく、進取の気性を持つ西側志向のウクライナや新たに影響力を増した欧州との協力にある。
交渉による戦争の終結として唯一実行可能で実証済みの道は、ウクライナの立場の強化だ。プーチンはウクライナの主権自体を否定しており、その野望はバルト諸国その他に及んでいる。
米議会にはプーチンに対する圧力を強化する手段がいくつもある。10月に上院外交委員会は制裁の執行を強化し、中国によるロシアへの戦争支援を制限し、凍結されたロシア資産のウクライナ支援への転用を承認する措置等を提案した。またトランプ政権によるロシア石油大手2社に対する制裁は大きな効果があったが、さらに多くのことをする必要がある。
ウクライナ安全保障支援イニシアティブへの追加投資は、欧州による貢献を強化し、ウクライナが強い立場を維持するために必要な防空体制、長距離兵器、産業支援を確保できるようにしてくれるだろう。
プーチンは米国がウクライナは勝てないと思い込むことに賭けているが、過去4年は現実がその反対であることを示している。ウクライナはあらゆる予想を覆してきた。
キーウは敗けておらず、モスクワは勝っていない。今ワシントンはウクライナの強固な意志に見合う支援を明言することが求められている。
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この論説の筆者は、共和党の上院院内総務を長年務めたマコーネル上院議員と民主党のベテラン上院議員であるシャヒーンであるが、二人とも共和党、民主党において今なお、それなりの影響力を持つと思われるので、紹介に値すると考え、取り上げた。
そのうえ、筆者二人のウクライナ戦争の現状についての見方は、おおむね賛成できるものである。プーチンは、戦況はロシア側に有利に進展していると国内的にも対外的にも宣伝しているが、この論説も指摘するように、プーチンは、そうすることで戦況についての認識に影響を与え、特にトランプ政権がウクライナに戦争の継続を断念させる方向に向かうように仕向けることを狙っていると考えていると思われる。この論説は、こういう認知戦に騙されないことが肝要であるとしているが、その通りである。