この数十年、世界秩序は米国のプラットフォームの上に築かれてきたが、今や世界が秩序を築くのは米国のプラットフォームの上ではなく、その周囲なのだ。
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このザカリアの論説は、トランプ2期目の米国が世界をどう変えているかを描写しているが、大きな図柄としては大体あたっていると思われる。米国はもはや頼りにならないとの感覚が欧州などで広がっている状況は否定のしようがない段階に来て居ると考えられる。その状況に欧州その他がどう対応しているかを概観した論説であるが、わが国の今後の対応を考える際にも参考になる。
まず欧州であるが、最近EUは南米のメルスコールとの間で包括的パートナーシップと暫定貿易協定を締結した。この結果、人口規模で世界最大規模の自由貿易地帯ができることになった。これは米国の保護貿易主義への対抗措置である。
欧州はまたシンガポール、インドネシア、ベトナムとの貿易協定を締結し、東南アジアとの貿易を増やす努力をし、それなりの成果を上げている。
米国とは切っても切れない通商関係にあったカナダは、トランプの政策に反発し、米国以外の諸国との貿易を今後10年で50%増やすとしている。
日本も自らが主導してきた包括的・先進的環太平洋経済連携協定(CPTPP)をさらに拡大して行くとともに、CPTPP圏とメルスコールとの貿易関係を強化し、CPTPP圏とEUとの貿易関係強化を図って、自由貿易圏を拡大していくことが適切ではないかと思っている。
トランプ第2期目のやり方は国際法を無視するものであるほか、グリーンランドの領有を実現しようとし、それに反対するNATO諸国に懲罰として高関税を課そうとするなど、同盟国に対するやり方としては何とも理解に苦しむやり方をしている。
米国は日本にとり唯一の同盟国であるが、米国が信頼に値しない時がくる可能性は否定できないとの前提で、考えを巡らしていく必要があるように思われる。
ザカリアは、中国について、その将来性を高く見ているが、中国の将来については、楽観的とは言えないのではないか。中国は経済的に困難に直面すると考えられる。
中国は日本に対して、最近、敵意に満ちた対応をとってきている。特に、戦後の日本の歩みを無視して、戦前の日本の歴史を批判の材料にするなど、遺憾な対応をしている。戦後の日本が築いてきた良いイメージは中国の独りよがりの宣伝などで壊れるものではないが、対中関係を「戦略的互恵」関係というのはやめるべきであろう。