中国はレアアースの世界生産の70%を占め大きな力を発揮している状況を打開すべく、米国は、同盟国やパートナー国に働きかけて、54の国と地域が参加する「重要鉱物閣僚会議」を開催した。トランプ政権にしては珍しい多国間アプローチは注目に値する。
Foreign Policy誌(web版)の2月5日付け解説記事が、「トランプ政権がレアアースなど重要鉱物のサプライチェーンの確保を目的とした貿易圏構想を打ち出したことは、中国に対抗する上で評価できるが、実際に効果が生ずるには時間がかかるであろう」と分析している。要旨は次の通り。
トランプ政権が開催した初の「重要鉱物閣僚会議」には50カ国以上の政府関係者が参加した。2月4日の開会演説で、J.D. ヴァンス副大統領は、関税を用いて鉱物の価格の下限を設定する「特恵貿易圏」の構想を提唱した。
これは、価格の急騰やその他の市場混乱からサプライチェーンを保護するものであり、メンバー国は、重要鉱物や資金調達へのアクセスが可能になる。ヴァンスは、同盟国及びパートナー国と共に地域全体の生産を拡大する貿易圏を形成したいと述べ、重要鉱物をメンバー国以外の国に依存する必要がない体制を築くチャンスだと付け加えた。
これは、経済と国家安全保障に不可欠とみなす約60種類の重要鉱物の新たなサプライチェーンを確保するための、トランプ政権による最も積極的な動きの一つである。これらの鉱物は、先進的な兵器システムからグリーンエネルギー技術に至るまで、世界で最も重要な技術の多くを支えている。
米国にとっての問題は、中国がこれらの素材の世界的なサプライチェーンの多くを掌握し、特にレアアースに関する強固な支配力を用いて貿易交渉においてトランプ政権に対抗してきたことだ。
トランプは、大統領に復帰して以来世界的な鉱物資源への野心を隠さず、2025年初頭から、鉱物資源がウクライナ、カナダ、グリーンランドに対する政策を混乱させる原因となり、各国は鉱物資源能力を強調した取引でトランプに接近しようとした。トランプ政権はまた、鉱物資源の争奪戦をAIへの野望と連携させており、国務省は初の「パックス・シリカ」サミットを最近開催した。
トランプ政権の強硬な貿易戦争によって多くの国がなお打撃を受ける中、鉱物分野は、米国と世界各国との間で数少ない協力領域として浮上している。
閣僚会議の数日前にトランプは、市場の混乱やその他の供給ショックから米国製造業を守ることを目的とした、120億ドル規模の重要鉱物備蓄プロジェクトを発表した。「プロジェクト・ヴォールト」と呼ばれるこの取り組みは、米国輸出入銀行からの100億ドルの直接融資と、民間資金による約16億7000万ドルによって賄われる。
こうした動きは、トランプが国家資本主義を信奉し、鉱物資源分野の民間企業の株式を次々と取得している中で起こっている。これらの企業は、中国の優位性を考えると、世界市場で競争するにはトランプ政権の支援が不可欠だと述べている。この分野に経験の深い企業家は、中国は30年以上もの間、鉱山から磁石やバッテリーに至るまでのサプライチェーンに補助金を出し続けており、競争できる唯一の方法は官民パートナーシップだと述べた。
しかし、迅速な解決策はなく、トランプの最新の取り組みの詳細は依然として不透明だ。業界アナリストは、世界の鉱山開発の平均期間は15年であることを考えると、新たなサプライチェーンの構築には数年、場合によっては数十年かかると強調している。
中国は、サプライチェーン上の重要な原材料のほとんど、あるいは全てを文字通り支配するまでに一世代を要した。トランプの任期中にこの問題が解決することはないとしても、正しい方向に進んでいるとはいえよう。