「台湾の次は日本やフィリピン」AFP通信に語った台湾・頼清徳総統の“危機感”、トランプ政権や高市政権との関係は?

2026.03.12 Wedge ONLINE

 台湾総統・頼清徳は、2月12日のAFP通信社とのインタビューにおいて、「もし、中国が台湾を併合すれば、次に脅かされるのは、日本やフィリピンなどのインド太平洋諸国であり、米国や欧州にも影響が及ぶだろう」と述べた。その上で、最悪の事態を想定してしっかり準備し、いつでも中国の侵略を抑止できる力を持つ必要があると述べた。そして、最近日本では「台湾有事は日本有事」(a contingency of Taiwan is a contingency of Japan)という言葉が使われるようになった、と説明した。

(ZUMA Press/アフロ)

 今回のAFP通信社とのインタビューにおいて頼総統は、これらの点について以下のように説明している。

 第一に、台湾と中華人民共和国はいずれも隷属関係にはない。だから中華人民共和国は、台湾を統一する権利は有していない。

 第二に、台湾は38年間戒厳令下にあった。台湾は今日の自由と民主主義、人権重視の社会を作り上げるため、幾多の困難をのりこえてきた。

 第三に、もし台湾が、中華人民共和国に統一されるようなことがあれば、インド太平洋地域の平和と安定が崩壊し、中国覇権主義の矛先が、周辺諸国にもおよぶことになるだろう。

 一方、台湾情勢について、目下、判然としないのはトランプ大統領の対応である。同人は4月には北京を訪問し、習近平主席と会談することになっている。

 トランプはこれまで「台湾の負担する防衛費」が少なすぎること、台湾の対米投資の結果、米国人の仕事が奪われたこと、などの発言を繰り返した。そのため、台湾の中では、いざという時、米国は台湾を助けてくれないのではないか、という「疑米論」まで起きた。

米国との関係の〝今〟

 現在、頼清徳・民進党政権は、野党・国民党との間では、立法院(国会)では与党・民進党が少数派という「ねじれ現象」になっている。その結果、台湾の自衛へのコミットメントとインド太平洋地域の安定を守る決意を強調するものとして頼政権が提案した400億ドルの特別国防予算法案は、野党の反対で暗礁に乗り上げるなどの弊害が出ている。ただし、世論調査に見る限り、台湾市民の現政権支持率は比較的安定している。

 ごく最近、台湾は米国との間で「対等貿易協定」を締結した。9カ月にわたる貿易交渉の末、台湾は相互関税率を20%から15%に引き下げた。頼清徳は、この決定を台湾の経済と産業にとって変革を遂げるための重要な決定であるとして受け入れた。

 米台関係において、見逃せないのは、武器売却問題である。トランプ政権としては昨年12月に過去最大規模の台湾への武器売却にふみきった。最近行われたトランプ・習近平間の電話会談の中で、習近平は「台湾問題は米中関係において最も重要である」として「米国は台湾に対する武器売却問題には慎重でなければならない」と釘を刺したと言われる。

 2月27日付けニューヨーク・タイムズ紙の報道によれば、トランプ政権は、4月に予定されているトランプ大統領の北京訪問を前に、中国の習近平国家主席を刺激することを避けるため、台湾への数十億ドル規模の武器売却パッケージの発表を遅らせている由である。

 一方、頼総統は最近、記者団に対し、「台湾と米国は強力な意思疎通のチャネルを有しており、米国の台湾に対するコミットメントは変わらない」と指摘した。その上で、台湾が自由で民主的な社会であり、台湾は中華人民共和国の一部では、断じてなく、台湾にとって、中華人民共和国は「敵性国家」である、と強調している。

日本とは「一致協力」

 茂木敏充外相は衆院選後初めて行った記者会見において、台湾は日本にとって「基本的価値を共有し、緊密な経済関係と人的往来を有する極めて重要なパートナーであり、大切な友人である」と述べた。

 これに対し、台湾の林佳龍・外交部長(外相)は「肯定と歓迎」の気持ちを表明した。その中で、林は台湾も今後、「日台関係を相互に利益をもたらす全面的パートナーシップに高め、地域の平和、安定、繁栄に向けて一致協力して貢献したい」と表明している。

 高市早苗氏が総理に就任する数カ月前に台湾を訪問し、頼総統と会見し事実も、いまだ記憶に新しい。

 

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