Economist誌(web版)が、最高裁の違憲判決を受けてトランプが新たな関税措置を取ることで対応しようとしており、経済面での影響等様々な分野で不確実性が増大するとの解説記事を掲載している。要旨は次の通り。
大統領の象徴的な政策がこれほどまでに痛烈な批判を受けることは稀だ。2月20日、最高裁判所はトランプ大統領の関税措置の大部分は違法であるとの判決を下した。
トランプは、1970年代の国際緊急経済権限法(IEEPA)によって議会を迂回し、思いつきで関税を設定できると主張していた。9人の判事のうち判決を執筆したロバーツ最高裁長官を含む6人がこれに反対した。
大統領は、関税率の引き上げは、違法薬物の輸入に起因する「公衆衛生危機」と「大規模かつ持続的な」貿易赤字という2つの緊急事態に起因すると主張していた。しかし、最高裁の意見書の中で、ロバーツ首席判事は、憲法制定者は「平時において関税を課す権限を『議会のみ』に与えた」のであり、「課税権のいかなる部分も行政府に付与していない」と指摘した。
彼はさらに、IEEPAにおける「規制」と「輸入」という言葉は、いかなる国やいかなる輸入品に対して、いかなる期間であっても、関税を課す権限を付与するものではなく、議会本来の権限である課税権を日常的な「規制」権限の中に含ませたわけではないと述べた。
この判決は、トランプ関税の壁を打ち破るものだ。しかし、大統領は関税障壁を再構築し、「IEEPAの関税よりもさらに強力な方法、慣行、法令、権限」の行使を約束している。
2月20日、トランプは通商法第122条を発動し、既存の関税に加えて世界全体で10%の関税を課すとしたが、翌日には、この税率を同条で認められている最高税率である15%に引き上げた。これにより時間稼ぎはできるものの、この条項は最長150日間の暫定関税しか認めていない。また、この条項は過去に一度も発動されたことがなく、発動要件である「大規模かつ深刻な」国際収支赤字を巡り訴訟となる可能性も十分にある。
関税を全面的に再構築するには、トランプは別の方法を検討する必要がある。おそらく、議会を経由しない特定分野および国別の関税に主に頼ることになるだろう。
具体的には第232条と第301条であり、既に運用されており、より確固とした法的根拠を持っている。彼の目標である半世紀以上ぶりの高関税率は、依然として達成可能である。
当面の経済的影響としては、不確実性がさらに高まることになる。企業はこの1年、米国の絶え間ない貿易政策の変動により、雇用や投資の判断は悪夢のように難しいと不満を漏らしてきた。今年は落ち着くかもしれないという期待は、今回の決定で完全に打ち砕かれた。
最高裁は、判決の経済的影響を左右するもう一つの問題、すなわち関税還付についてほぼ沈黙を守っている。輸入業者はすでに1000億ドル(国内総生産〈GDP〉の0.3%)をはるかに超える関税を支払っており、これらの関税はおそらく還付される必要があるが、具体的な手続きや提出すべき書類については不明である。還付金が迅速に支払われれば、中間選挙を前に景気刺激につながり、逆説的にトランプに有利に働く可能性がある。
この判決はまた、最高裁判所のより広範な方向性についても教訓を与えるものだ。トランプ復帰後、最高裁は大統領との直接対決を避け、大統領による採用や解雇の問題からトランスジェンダー兵士の禁止や移民問題に至るまで、緊急対応事案として次々とトランプの勝利を認めてきた。しかし今、最高裁は政権の政策に関わる訴訟を通常の訴訟案件として審理し始めており、十分な書面準備と口頭弁論を行うことから、トランプにとり勝算は必ずしも明るくない。