イラン製のシャヘド136は最高速度約180km/hで飛来するとされている。これを迎撃する「スティング」と命名されたウクライナのドローンは350km/hで推進する弾頭を搭載している。価格は千~数千ドル程度で、迎撃対象のシャヘドよりさらに安い。これは理論的には、高価な防空システムを不要とするもので、正に画期的と言える。
わが国周辺の戦争は海と空が中心になるので、飛来するドローンよりさらに安価で量産が可能な「迎撃ドローン」は、日本にとっても極めて貴重な装備となるだろう。
第2は、電波妨害等にかかる技術である。ロシア軍は伝統的に電子戦に強みを発揮する部隊であり、ドローンを運用した初期の頃はウクライナ側もかなり苦戦したものと思われる。
大挙して飛来するドローンを迎撃ミサイル等でひとつひとつ落としていったのでは人的・物的コストは計り知れない。ドローンを誘導する通信を妨害し、動作を混乱させ、無力化することは重要な対策である。
これに対しロシア側も、ウクライナによる電波妨害をさらに無力化する手段を開発し、それに対抗してさらにウクライナも新たなシステムを開発する、という具合に「いたちごっこ」を重ねることになるのだが、その中で不可避的に技術が進んできた。
敵のドローン攻撃に対する効果的な対処方法の一つとして、わが国としても電波妨害、及びそれへの耐性に関する実戦で培われた技術や戦闘の方法をウクライナから学べるのであれば極めて有益である。これはサイバーセキュリティの観点からも得難いアセットとなるだろう。
第3は、地上ドローンだ。今日、地上ドローンはウクライナが得意とするドローン技術の一つとなっている。ウクライナ軍はすでに、車輪で地上を移動するドローンを使って前線への物資輸送を行っている。さらに最近では、機関銃を装備した地上ドローンが航空ドローンと協働しつつ、ロシア側陣地に攻撃をしかける作戦も行われているようだ。
わが国が地上ドローンを戦闘目的で使用する事態は、まさに「本土決戦」を意味するので、現時点で実戦上の必要性は乏しいと思われるが、災害などの非戦闘目的で使用する上では非常に有益だ。
第4に、個々のドローン購入以上に、技術の獲得と操縦士の育成が重要である。ドローン技術はまさに日進月歩であり、完成品としてのドローンを入手しても、1年もたてば新たなドローンが開発され、旧式のものでは対抗できなくなることがある。ドローン対策は常に新たな技術を導入、開発することが必要であり、よってウクライナから得る最重要なものは完成品よりも、むしろ技術と言っても良いだろう。
また、操縦士の育成は一朝一夕でできるものではない。特に既述のとおり、ドローン技術は日進月歩で、これを操縦する技術も変わってくる。
ドローン戦で敵から真っ先に狙われるのが操縦士であることは、ドローン戦で最も重要な構成要素が操縦士であることを示している。ウクライナからの技術導入を考えるのであれば、操縦士育成の可能な人材を獲得することが望ましい。