データセンターは「今世紀最大の迷惑施設」なのか?重要インフラに都市自治体は積極対応を、国土の狭い日本特有の問題も…

2026.09.16 Wedge ONLINE

 日本各地でデータセンター建設をめぐって紛争が発生している。欧米ではとっくに激しい論争や過激な反対運動が起きている。日本はデータセンター建設ブームが欧米より遅れてやってきたが、ここでボタンを掛け違えるとさらに遅れることになる。

(Jeff J Mitchell /gettyimages)

 AIの技術開発が進む中、その暴走を止めたり正しく使う教育をしたりと、AI活用政策の議論も急がなければならないが、基盤となるデータセンターへの対応も進めなければならない。初期の段階で人々に悪いイメージが定着すると取り返しのつかないことになる。

 データセンターの建設を担う事業者は都市計画法や建築基準法で合法だからといって建設を強行するのではなく、欧米と違って住宅地の近くに建設せざるを得ない日本の国土構造に十分に配慮し、住宅地と馴染むような日本流のデータセンター建設への道を拓くべきだ。 

 都市自治体もデータセンターがこれからの社会に必要な都市インフラであることを踏まえて、建設をめぐる紛争に介入するなど、積極的に対応するべきだ。広域的な電力需要や送配電ネットワークの整備についても電力会社任せにせず、中長期的な視点から強い関心を持たなければならない。

欧米では巨大な電力需要等が問題に

 アメリカではデータセンターの建設をめぐって各種の対立や紛争が発生している。一番大きいのは電力需給のひっ迫だ。AI大手企業の一つは原子力発電所約30基分の電力を必要とすると公言している。

 発電所の建設を検討する大手AI企業もあるほどである。その旺盛な需要が地域の電力料金の値上げを誘発し一般市民の反発を呼んでいる。

 アメリカは国土が広いので発電所を建設することはできるが、送配電のネットワークを整備するには年月もコストもかかる。情報関連企業が集積しているアトランタではネットワーク形成が間に合わなくなり問題になっている。

 データセンターが雇用創出にあまり効果がないことも地域の支持を得られない原因になっているようだ。冷却用の水需要が大きいことも問題になっている。紛争が拡大し、ニューヨーク州のキャシー・ホークル知事がこの7月に今後1年間のデータセンター建設を禁止するに至った。

 ヨーロッパでも各国で、データセンターの電力需要が電力料金を押し上げているとして問題になっている。筆者がこの夏、現地で調べたドイツは特に問題で、再生可能エネルギーに傾きすぎ、脱原発、ロシアの天然ガスに依存など過去の政策のツケが一気に表面化したことと相まって電気代が上がっている。

日本が持つ課題

 日本では問題の様相がかなり異なっている。国土に広大な未利用地を抱えていないため、住宅等市街地の近くにデータセンターが計画されることもあって、「巨大な壁がまちに圧迫感を与える」「商店街が途切れる」「騒音や排熱が不安」などの理由で住民が反対する例が目立つ。

 これらの反対理由に対し、データセンター側から解決可能な案を具体的に示す必要がある。「巨大な壁」という不安に対しては、壁面緑化や壁に沿った樹木の植栽、商店街が連続しているような地域に建設する場合は敷地内に商業スペースを設けるなど、それなりの対応ができるはずだ。

 排熱については、施設内で熱交換処理をする、場合によっては地域住民が利用できる温水プールや温浴施設を設置するなど、コストをかける覚悟が必要だ。熱処理用の水についても再利用システムを導入すべきだ。

 以上の指摘に対して「そこまでやるのか」と受け取る人は世界のデータセンター建設をめぐる状況に対して理解が不足している。今や、データセンターは「今世紀最大の迷惑施設」「原発よりも忌避される」などと雑誌に見出しがつけられるほど誤解される施設となってしまった。

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