話が面白い人はそれだけで魅力的です。職場でも学校でも、テレビの世界でも動画の世界でも、頭一つ抜けて人気者になるのは、やはり話が面白い人です。また、話が面白い人はビジネスにおいても高いパフォーマンスを発揮することが多く、会社で重宝され、出世するのも早いと言われています。 さらに、AIの進化にともない、あらゆる人間の活動がAIに代替されるようになりましたが、AIは面白く話すのがそれほど得意ではないようです。面白く話す力は、AIに代替されづらい、人間ならではの能力の一つだとされているのです。
では、どうしたら話が面白い人になれるのでしょうか。 この連載では、元QuizKnockゲームチャンネルプロデューサーで、登録者数33万人の大人気YouTuberのだいふくさんが、動画配信をするなかで培ってきた、AIには真似できない「話が面白い人になるための技術」を解説していきます。
「面白い」と思われるようなトークをするためには、自分が興味があることを話すのではなく、聞き手が興味があることを話す必要があります。
とはいえ、話すテーマ自体はそれほど重要ではありません。切り口や伝え方を相手に合わせて変化させることで、同じテーマであっても相手の興味を刺激する、いわゆる”刺さるトーク”にすることができるのです。
切り口や伝え方を相手に合わせる際に重要なのが、まずはファーストインプレッション。最初の直感で「真面目そう」と感じたらちょっと硬めの語り口で、「やんちゃそう」と感じたらやんちゃタイプが好む情報を織り交ぜつつ話してみると、意外と聞いてくれるものです。
トークに苦手意識がある人は、伝えようと考えている内容に意識が向きすぎるあまり、このファーストインプレッションに基づいたちょっとした調整をおろそかにしていることが少なくありません。
こうしたことをこの連載で数回にわたって伝えてきましたが、前回はさらに一歩踏みこんで、ファーストインプレッションで相手の興味がつかめなかった際に、相手の興味をさりげなく聞き出し、話をしながらチューニングするという、ちょっと高度なテクニックを解説しました。
このように、これまで”相手の興味”にばかり注目した、面白く話すためのトーク技術を紹介してきましたが、ただ、正直「そんなことよりも”自分の興味”の話をする方法を知りたい!」という方もおられますよね。
自分の話をするのは気分が良いですし、理想を言えば自分のしたい話を相手も聞きたがっている状況、つまり需要と供給がマッチしている状況が一番好ましいです。
そこで今回は、自分のしたい話をするための技術についてお話しします。
自分のしたい話をする方法は、大きく分けて2種類あると思います。
1つめが、自分が伝えたい話を相手も興味がある方向に持っていく、という方法です。おそらくこの方法が一番現実的です。
どういうことかというと、私は過去に小学生の塾講師をやっていた経験があるのですが、英語を教えるときに相手が興味がある文脈に英文を置き換えるというテクニックをよく使っていました。生徒は塾に通っているといっても勉強が大好きなタイプはほとんどいません。もちろん英語に興味がない場合のほうが多いです。そういう状態の生徒であっても、英語の文章を、彼らが大好きな『ポケモン』のキャラクターに置き換えるだけで授業を聞いてもらえる率が格段に上がるのです。
具体的に例を出すと、
Mount Fuji is the most famous mountain in Japan.
(富士山は日本で一番有名な山だ。)
という文章があったとします。これを
Professor Oak is the coolest man in the world.
(オーキド博士は世界で一番カッコいい男だ。)
という文章に変えて生徒に教えます。人気キャラクターのピカチュウで例えてもいいのですが、「オーキド博士そんなにカッコよくないよ」的なツッコミどころをわざと残すことで授業の記憶が残りやすくしています。これは最上級の例でしたが、あわせて比較級も教える際に
Professor Oak is more popular than Pikachu.
(オーキド博士はピカチュウより人気だ。)
という文章を使うと、「そんなわけないよ~」という会話が生まれ、生徒の記憶に残りやすくなります(※ただ実際はピカチュウのほうが人気なので、後日の覚え間違いを防ぐために、生徒の学力にあわせて例文は変更する必要があります)。生徒がテスト勉強で比較級・最上級を勉強する際に「あの先生とあーいう話したな…」という記憶を思い出してもらえれば、記憶の定着にもつながりやすくなると思います。
このように、相手がまったく興味がなさそうな内容を伝える際であっても、相手が親しみやすい要素に置き換えてやると、積極的に聞いてもらえる可能性が上がります。
ちなみにこの方法ですが、お笑い芸人など話術が得意な方が巧みに使っている手法だと思います。皆さんも、お笑い芸人が『キン肉マン』『北斗の拳』『ドラえもん』『ポケモン』など、国民的人気のあるアニメや漫画の例えを持ち出して、上手に言い換えている場面を見たことがあるのではないでしょうか。恋愛リアリティーショーに参加している個性の強い出演者を『キン肉マン』に登場する超人に置き換えて語るなど、そのギャップだけでも笑いを生む芸人さんもおられます。
こうしたテクニックを上手く使えると自分のしたい話ができるのみでなく、シンプルに「話そのものが面白いやつ」という評価を得ることができますし、一石二鳥です。
ただ即興でやるには難易度が高いので、どうしてもやりたい場合は事前にある程度の例え話を考えておくなど、入念に準備をしておくべきだと思います。