陸上戦闘中心のウクライナ戦争、海での戦いを変えたウクライナ海軍のドローン…日本も参考にできる3つのこと

2026.10.21 Wedge ONLINE

 ウクライナが過去数年間にわたって開発してきた多種多様なドローンは、陸戦の様相を大きく変えることになったが、今やその変化は海上戦闘にも及びつつあることを、ニューヨーク・タイムズ紙の9月30日付け解説記事が具体例を挙げつつ詳述している。概要は次の通り。

( MariaTkach/lzf/gettyimages)

 ウクライナの海軍用ドローンは、軍用機を撃墜するための地対空ミサイルを搭載し、黒海を航行している。また、攻撃用ドローンを標的の近くまで運ぶ役割も担う。9月には、ウクライナのドローンがロシア側のドローンと水上で交戦した。

 ロシアがウクライナへの全面侵攻を開始した当初、制海権はロシアが掌握していた。しかし、ウクライナはドローン作戦を拡大し、最終的にはロシアが誇る黒海艦隊の約3分の1を撃沈するに至った。

 現在、ウクライナはさらに進んで、洋上ドローンによる防衛・攻撃の多層的な体制を構築しつつあり、それによって海戦のあり方そのものを変革している。海域には毎月のように新たな技術が投入されている。

 ウクライナのドローン部隊が安価な市販品をベースにしているという点は、防衛産業への参入障壁が低いことを意味する。ウクライナの27社が新たな海軍用プラットフォームや技術の実験に取り組んでおり、さまざまなモデルや性能の試験を行うことでイノベーションが加速しているという。

 ウクライナの海軍用ドローン技術は、世界中の注目を集めている。各国の防衛企業は続々とウクライナのドローン企業と協力関係を結び、あるいは結ぶべく接触としている。北欧諸国やバルト三国、そして日本からも協力の提案が寄せられ、ペルシャ湾岸諸国からも接触があるという。

 ウクライナのシステムは、GPS信号が遮断された環境下やロシア軍の攻撃にさらされる状況で運用され、実戦でその性能が証明されている。また、ウクライナ軍と防衛関連のスタートアップ企業は、安価で製造が容易なドローン、迅速に規模を拡大できるプラットフォームの開発に注力してきた。

 この新たな形態の海軍力は、幾多の失敗から始まった。初期の「マグーラ」ドローンは、もともと民間用モーターボートをベースに、2023年春には試験運用を開始、その後、時間の経過とともに高度化していった。

 空中ドローンの発進機能を持つドローンボートも試験運用を経て、昨年初めて実戦に投入された。当時、ウクライナ軍の作戦立案者たちは、ロシアの港湾都市トゥアプセとノヴォロシスクへの攻撃を計画していた。

ウクライナの司令官は、「空母」の役割を果たす海上ドローン「カトラン」の甲板に多数の迎撃用ドローンを搭載し、それらを使ってロシアが洋上に設置したアンテナを破壊、操作していたロシア兵を殺傷した。レーダーが無力化されたことで、別の海上ドローンが防衛網をすり抜け、ロシアの港を攻撃したのである。

 こうしたシステムは、空・海・陸のロボットを様々な組み合わせで運用し、新たな脅威に絶えず適応させていく必要がある。ウクライナの技術開発における次の段階は、海上ドローンに長距離の重火器を搭載することになるという。

 ウクライナの指揮官たちは、ドローン戦の鍵となるのは兵器そのものではなく、状況に素早く適応できるチームだと考えている。ある指揮官は、「最も重要なのは技術ではない。重要なのは『人』だ」と述べている。

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日本から見た海軍ドローンの利点

 ウクライナ戦争は陸上戦闘が中心であり、よって開発・製造されるドローンの大半は地上戦を戦うことを想定したスペックとなっている。また、ウクライナのドローン生産の90%以上は空中ドローン、次が陸上ドローンで5%前後、水上・水中ドローンは1%程度で、全体の中ではまだごくわずかである。