陸上戦闘中心のウクライナ戦争、海での戦いを変えたウクライナ海軍のドローン…日本も参考にできる3つのこと

2026.10.21 Wedge ONLINE

 これに対し、わが国が対応すべき対象は海・空戦闘が中心となるので、ウクライナにおける経験は、現代戦の戦い方を知るという意味では重要な意義があるが、わが国周辺の状況にそのまま適用することはできない。

 ところが、本年夏以降、ロシア軍は黒海沿岸の港湾等に対する攻撃を再び激化させ、これによって黒海を通航する「穀物回廊」が危機に瀕し、ウクライナは海上戦闘能力を再構築する必要に迫られるに至った。その一環として、ウクライナは海上戦闘に使用するためのドローン開発にこれまで以上に力を入れており、わが国にとっても参考となるケースが増えている。

 以下に、わが国から見た、ウクライナにおける海軍ドローンの利点を整理しておきたい。

 海軍用ドローンに限らず、ウクライナのドローン開発の利点の第一は、「大量・廉価で迅速・多様性」の三拍子が揃っていることだ。すなわち、戦闘の在り方に即したタイプのドローンを必要な時に必要な数、廉価で迅速に調達しやすい。こうしたウクライナのドローンの特徴は、戦車、装甲車などのプラットフォームを中心とする戦闘から、無人機を中心とする戦闘にマッチしたものだ。

 次に、ウクライナの海軍用ドローン自体の利点について。まず、海洋で使用するドローンには、敵艦船の攻撃、クリミア大橋など橋梁の攻撃、海底インフラ(海底ケーブルやパイプラインなど)の防護、機雷除去など、様々な使い道があるが、ウクライナによる最近の運用で、わが国にとっても大いに参考になると思われるものに、次のような例がある。

 第一は、水上ドローンの遠方への配置による前方防衛だ。沿岸から十分な距離をもって、攻撃型ドローンなどを搭載した水上ドローンを配置することで、できるだけ前方で敵からの攻撃を防ぐことができる。

 第二は、水中ドローンの効果的運用だ。水上ドローンは航空機など空からの攻撃に弱く、敵の強力な電波妨害という深刻な障壁があるほか、水上に何らかの障壁を構築されると進めなくなるという脆弱性がある。水中ドローンは、これらの弱点を克服するという意味で重要な役割を果たす。

 ただし、水中の環境は電波を通さないことから、これを如何に誘導するかが水中ドローンにとって最大の課題になる。ウクライナはこれを様々な工夫を凝らすことで克服しようとしている。

 そのひとつは電波の中継通信拠点となる「水上」ドローンを併用し、当該ドローンから「水中」ドローンに対し、音響通信などによって誘導、攻撃指示を行うやり方。また、船体は水中にありながら水上に「マスト」を突出させ、これに通信機能を果たさせるやり方もある。さらに、目標のデータをAIに記憶させて、自律的に攻撃させるやり方も採用されている。

ウクライナへの支援も一方通行ではない

 最後に、ドローンに限らないが、ウクライナの兵器がもつ最大の利点は、実戦でその効果が確認されていることだ。どれほど高性能の兵器であっても、実際に戦闘で使用され、その成果が確認できていることは、作戦計画の信頼性を支える最重要の要素のひとつであり、また、兵器の国際市場における価値にも大きく影響する。

 因みに、西側諸国がウクライナに提供する自国製兵器についても、これらがウクライナに対する支援であることは間違いないが、同時に、自国製兵器が実戦で使用され、そのデータを吸収することができるという意味で、支援する側にも大いに役立っている。

 そして、兵器の実戦での使用は、多くの人命の喪失を伴っている。ウクライナ支援は決して一方通行ではない。