自粛生活に「幸福を感じた人」が口々に語る理由

が、普段の社会では大人たるもの、いかなる状況にあろうと自力で対処するべき、という過剰な自己責任論がはびこっている。決して少なくない人が、コロナ禍ほどの事態が起きてようやく自分の不遇を環境のせいにでき、肩の荷を下ろせるというこの現実を、私たちはどう受け止めるべきだろう。

業種、職種ごとに見えてくる意外な変化

アンケートからは、専門職として働く人たちからの声も寄せられた。

〇専門職として働く人たち
普段は多くの方がいらっしゃるお宮も参拝者が激減し、多くの御結婚式がキャンセルになりました。大きなお宮は今までの参拝者からの奉納金等で生活費は凌げるでしょうが、地方のお宮は他の業界の方々と同じように存続の危機に立たされていると思われます(巫女)
ドラッグストア勤務です。他店ではマスクが無いことでお客様に怒鳴られたり什器を蹴られたりしているようですが、私は幸いまだそこまで怖い目には遭っていません。たぶん私が見た目も中身もおばさんだからかな? お客様対応で怖い思いをしているのは若いアルバイトが多いようですね。自分より年下になら何を言っても雑な態度を取ってもいいっていう考えの人がこんなに居るとは、嘆かわしいです(アラフィフ独身子無し女性、調剤のできない薬剤師)
本業はジムでパーソナルトレーナーとして勤務してました。大体月収手取りで40~50万円程。 コロナの影響で仕事が1~2割しかなくなりこのままだと生活がヤバそうと危機感を感じてアダルトチャットの副業を自宅でスタート。 タイミングが良かったのかなんとチャットでの給料はトレーナーの時の3倍に……。 現在自粛中もチャットを自宅で続けてますがコロナの影響でむしろ収入増えてラッキーでした。 コロナが落ち着くまでは自宅でチャットをして生活防衛費を貯めつつ引きこもるつもりです(36歳、都内在住、独身)
もともとモデルの仕事をしていましたが、年齢的な事情もあり仕事が減っていました。そこで少し前から障害者の在宅介護の世界に入りました。週に2回介護、それ以外の日で撮影が入ればモデル。そんな生活が10カ月続いたところで今回のコロナです。撮影の件数はますます減り、反面介護の現場でほぼフルタイムと同じ時間働くことに。 月収は1年前と比べてかなり減りますが、モデルだけを続けていたら今頃収入ゼロになっていたところです。また「私でもモデル以外の仕事ができるんだ!」という自信にもなりました。もしかしたら、このコロナ騒動が私の人生の転機になるかもしれません。(51歳、夫と二人暮し、個人撮影モデル兼障害者介護)

思わぬ場所が窮地に陥っている一方で、窮地を思わぬ転機に変える人もいる。

アンケートを実施した4月半ばの時点ではまだ少数ではあったが、すでに厳しい現実に直面している人たちからの切実な声も寄せられた。

〇厳しい現実に直面している人たち
リモートワークの影響で、直属の上司とのやりとりがDM上になり、周りの目に触れない閉じられたコミュニケーションになったからか、私へのあたりがより雑にキツくなり、ストレスで休職しました……(デザイン関係、24歳、女性)
失業(会社員)
食欲減退 不眠 抑うつ(40代、看護師、コロナ対応中)
仕事は3月末から休業。6割支給ですがパートのため、給与換算すると5万くらいになりました。 妊娠前は15万、妊娠後は10万、現在4万です。(30代、千葉県在住、女、妊娠中)

事態が長期化するほどこういった人たちが増えていくのは自明であり、決して他人事ではないのだ。

健康になった人、意欲が減退する人…

続いて回答者たちの趣味や消費、ライフスタイルに生じた変化についてみていこう。