「クラブハウス有名人」が語る向く人向かない人

日本でもユーザーが急増している「Clubhouse」。インフルエンサーはどう活用しているのか、注意点はあるか聞いてみた(写真:ZUMA Press/アフロ)

2020年4月に始まった、アメリカ発の音声SNS「Clubhouse(クラブハウス)」。リアルタイム配信のみで録音・複製不可、招待制というレア感もあって、2月上旬から日本国内でも人気化している。

コロナ禍で交流が減っているなかで、気軽に音声発信と交流ができることもあり、2月17日現在、iPhoneやiPadのみの対応にもかかわらず、ユーザーが急増。芸能人も続々参入している。

すでに「Clubhouse疲れ」が言われたり、人気はピークを打ったという声も出ているが、思いがけずどっぷり「クラブハウス沼」にはまっている人も少なくない。はたしてこのブームを乗りこなす人、インフルエンサーたちはどう活用しているのだろうか。注意点はどこにあるのか。“Clubhouse有名人”のお2人に取材した。

フォロワー3万人弱・ピエール中野さんの場合

ピエール中野さん(画像:中野さん提供)

Clubhouse上でフォロワー2万8000人以上を獲得しているヘビーユーザーで、ミュージシャンのピエール中野さん。人気ロックバンド「凛として時雨」のメンバーで、Twitterなどの各種SNSをいち早く使いこなしてきた、音楽業界でよく知られる存在だ。

中野さんは以前から、YouTubeをラジオ感覚で作業や家事をしながら視聴していた。Voicyなどの新興の音声プラットフォームが気になっていたところにClubhouseを知り、すぐに登録したそうだ。

中野さんが登録した1月25日時点では、まだ芸能人が少なく、ITスタートアップやベンチャーキャピタルの関係者が多かったが、自分が知らない業界で働く人々の会話を聞く楽しみを発見したのだという。

「1月末の時点では、落合陽一さんが人気で、ビジネス界隈の方が多く集まっていました。流れが変わったと思ったのが、港区女子がヤバい飲み会について語るroomが立ち上がったとき。500人以上のリスナーを集めて、Twitter上でも大きな話題になっていました。他人の雑談が、エンタメにもなりうることがわかりましたね」

知識欲を満たしたいときや、ただ人がのんびりしゃべっている様子を聞きたいときなど、自分の気分によって聞くroomを選んでいるのだそうだ。

さて、著名人たちは、いったいどんなスタンスでClubhouseと付き合っているのだろうか。

「僕の場合は、とにかくTwitterなどほかのSNSで気になっていた人とどんどんお話ができるのがうれしいですね。リスナーに見覚えがあるアイコンがあると、すぐスピーカーになってもらう。短い時間で、相手との距離を縮めることができます。

一般の方ともどんどん話して、その場のトークを回す能力を身に付けたい。なにより、自分が知らない人の人生の話を聞くのって、楽しいんですよね。今のところは嫌な感じの人がいないし、握手会のような感覚です」

インスタグラムなどの配信とは違い、Clubhouseにはコメント欄もなく、リスナーの反応をダイレクトには感じ取りにくいが、ファンとの交流も工夫してカバーしているという。

「例えば『しゃべりたいことがある人は、プロフィール欄にコメントを書いておいてね』と声をかけることで、テキストでのやりとりも可能です。限られた機能をどう使うか次第で、楽しみ方は変わります」

Clubhouseに「向く人」「向かない人」 

Clubhouseは向く人、向かない人が明確に分かれる、と中野さんは語る。

「皆で会話を楽しむ場なので、1人でずっとしゃべり続けてしまうタイプの人は気をつけたほうがいいかもしれません。飲み会と一緒です。うまく皆に話を振ることができるモデレーターがいると、roomの“質”が向上します。