「水卜アナ」理想の上司に選ばれる好感度の秘訣

2010年に日テレへ入社した水卜麻美アナウンサー。まだ初々しいころに出場・完走を果たした「東京マラソン2012」で(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

理想の女性上司といえば誰?

明治安田生命が今年2月に発表した「理想の上司」アンケート調査の女性部門で日本テレビの水卜麻美アナウンサー(33歳)が総合第1位に輝きました。毎年恒例の「今春入社を控えた新社会人」を対象とした“理想の上司として思い浮かぶ有名人”ランキング。水卜アナは今回で5連覇しています。

3月末まで司会を務める朝の情報番組「スッキリ」で、水卜アナは「本当に、まじめに言って、後輩のおかげだなって思っていて」と慕ってくれる後輩に感謝のコメント。メインMCの加藤浩次さんに、そういう言葉が理想の上司に選ばれる理由であるとツッコまれ、水卜アナ本人は「いいこと言っちゃったみたいになっちゃった!」と照れました。こうしたトークにも彼女の人柄がにじみ出ています。

仕事ぶりも高く評価されています。存在感はあるけれど出しゃばらない。番組では自らの役割はきっちりとこなす。アナウンサーとしての技術も確か。スッキリの番組スタッフや共演者と交流のある人物の話では、「水卜アナへのスタッフ、共演者の信頼は絶大」。この4月の改編で3年半務めた「スッキリ」を卒業し、「ZIP!」の総合司会に就任することになったのも、こうした評価の賜物でしょう。

実は、日テレの朝の情報番組で女性がメイン司会になるのは史上初です。日テレの朝番組といえば、あの「ズームイン!! 朝!」。初代の徳光和夫さんはじめ、福留功男さん、福澤朗さん、羽鳥慎一さんと日テレを代表するアナウンサーが代々司会を務めてきました。局の看板番組の系譜を継ぐ「朝の顔」に抜擢されたわけです。

ぶっちゃけキャラの好感度

そのキャラを確立したのは、入社1年目で抜擢された「ヒルナンデス!」での食リポでした。その食べっぷりが話題になり、食いしん坊キャラが定着しました。また日テレの入社面接で、変顔を披露して内定を勝ち取ったという武勇伝もあり、ほかの女子アナたちとは、明らかに一線を画す「親しみやすさ」が、彼女の好感度をぐんぐん上げていきました。

しかし水卜アナが支持される本質は、「変顔」や「食いしん坊」といったキャラによるものだけではないと私は思います。自身が「食いしん坊」であることを素直に認めていること、もっというと、全面的に「食いしん坊」な自分を受け入れているわけではない、ということさえ包み隠さずにいること。これが水卜アナの“ぶっちゃけ力”の半端ないところ、と私は見ています。

アナウンサーという職業柄、“もっと自己管理すべきだと思っているのに、食欲に負けてしまっている”という本音を、水卜アナはものすごく正直にさらけ出します。誰でも感じたことのあるような“身近な悩み”を、テレビに出ている有名人が“女子会ノリ”で話してくるわけです。親近感を持たないはずがありません。

これが「自己開示」の持つパワーです。自己開示とは、自分に関するプライベートな情報を相手に話すこと。とくに少し恥ずかしいと感じるくらいのことを正直に打ち明けると、「そんなことまで話してくれるなんて、自分に心を開いてくれているんだ」と相手は認識し、心の距離が縮まりやすくなります。

転んだアザまで自己開示

水卜アナの自己開示エピソードを、もうひとつ紹介しましょう。

2019年6月、女性芸人の頂点を決める「女芸人No.1決定戦 THE W 2019」の記者会見でのこと(決勝は同年12月に日テレ系で生放送されました)。MCでタッグを組むチュートリアルの徳井義実さんと2人で出席することになっていたのが、徳井さんが開始予定時刻に間に合わないというハプニングが発生。相方の到着まで時間を埋めるべく、水卜アナが急きょ“前説”を行うことになったのです。