会社にとって「一番お荷物になる社員」5つの条件

2.自責的に考えることができない

「誰でもミスや失敗があるわけですが、お荷物な社員はミスや失敗を他人のせい、環境のせいにします。明らかに本人に問題があるというケースでも、せいぜい『運が悪かった』と思うくらいで、自責的に考えることはありません。問題がわかっていないので、行動も変わらず、いつまで経っても同じような失敗を繰り返しています」(IT)

3.自発的に行動しない

「お荷物な社員は、意欲が低いのとリスクや責任を負いたくないという気持ちから、とにかく自分から動こうとはしません。入社3年目くらいまでは許せても、ずっとその調子でいると、会社にとってはお荷物です」(精密)

「パフォーマンスが低いダメ社員は、いかに少ない労力で済まそうかと、楽をすることばかり考えています。定年間際で体力が落ちた高齢社員ならまだしも、20代の若手同士が『俺はこうやって手抜きした』と自慢し合っているのを見ると、絶望的な気持ちになります」(マスコミ)

4.周囲に悪影響をまき散らす

「自分が仕事しないだけならまだしも、職場のメンバーに悪影響をまき散らす社員がいます。メンバーが懸命に仕事をしているのに、『そんなことやったって意味ないよ』とか言ってムードを盛り下げるのを見ると、『早く会社を辞めてくれ。辞めないなら風邪ひいてずっと休んでいてくれ』と叫びたくなります」(商社)

「他のメンバーの足を引っ張る問題社員って、意外と悪気はないようです。悪気がないから反省することなく、いつまでも足を引っ張り続けて、まったく質が悪いです」(部品)

これらの特徴をひとまとめに論じるのは難しいですが、お荷物な社員は、自分自身としっかり向き合い、態度や行動を変えていく、ということができていないようです。

採用活動は機能不全

ところで、今回、お荷物な社員について尋ねたのに、複数の人事部門の責任者・担当者から「不本意ながら、お荷物な社員が大量に生まれている最大の原因は、人事部門にあります」という率直な反省の弁を耳にしました。

人事部門の責任者・担当者がとくに問題視していたのが、採用活動です。採用後の社員教育(OJT)や評価は配属先が主体になって実施しており、人事部門が最も主体的に関与するのは採用ですが、多くの企業で採用活動が機能不全に陥っているようです。

「当社の採用は、各部門の要望や業況の良し悪しに応じて頭数を確保しているだけで、全社のビジョン・戦略を実現するためにどういう人材を何人採用しようか、という人材ポートフォリオの発想がありません」(物流)

「過去に低ランク校から採用した新人が入社後に振るわず、配属した部署から『どうしてあんな大学から採ったんだ』『俺たちに変なのを押し付けないで、人事部でちゃんと面倒を見ろよ』と猛烈に抗議されました。それ以来、冒険せず、無難に有名どころの大学から採用しています。本当は学歴に関係なく優秀な人材を採りたいんですがね」(通信)

「上司の言うことを素直に聞く体育会系の学生が経営陣や管理職に受けが良いので、優先的に採用しています。社長は常々『とがった人材になれ』『秩序を打破しろ』と言っていますが、体育会系の採用が多いことをとくに問題視していません」(サービス)

せっかく希望に燃えて入社した社員がお荷物扱いされてしまうのも、せっかく企業が手間とコストを掛けて採用した社員を見放してしまうのも、ともに不幸なことです。お荷物な社員に「自分自身を見つめ直せ」と自己変革を促すだけでなく、経営者も人事部門も自らの思考・行動を改める必要がありそうです。