議論が進まない「ダメ会議」を救う3大テクニック

ここでは、相手の意見を評価する姿勢を持ってはいけません。仮に、明らかに同意できないものであったとしても、相手が何を考えているのか、なぜそう考えているのかをすべて話してもらうことに徹しましょう。

話し下手な人をさりげなくサポートする方法

会議には、必ずしも話し上手な人ばかりが集まっているわけではありません。当然、話すことが苦手な人もいるはずです。

そんな人をさりげなくサポートして、会議がスムーズに進むよう手を尽くすことも、ファシリテーターの大切な役割です。たとえば場なれしていない新人に冒頭からコメントを求めるのは、無理があります。場の雰囲気をやわらげるために、最初のうちはできるだけ弁の立つ人を中心に話を回していき、口下手な人には様子を見ながら「どうですか○○さん。ここまで聞いていて何かご意見ありますか」と、緩めに話を振ってあげるほうがいいでしょう。

それでも相手がしゃべりにくそうにしていたり、言いたいことはあってもうまく言葉を見つけられずにいたりするようなら、かけ合い形式で話を引き出してあげてください。

「○○さんは、以前こんな話をしていましたよね?」と質問をして話をつなげたり、「そうですか、それはたいへんでしたね。そして、その後はどうされたんですか」と話しやすいように水を向けて、それとなく助け舟を出してあげるのです。

本来、進行役は必要以上に言葉を重ねるべきではありませんが、こうして間を埋めてあげることは、不慣れな発言者の安心感を誘います。ファシリテーターがあえて発言を積み重ねることで、相手に頭の中を整理する時間を与えるわけです。

どんな人でも実のあることを答えるには、それなりに考える時間が必要です。しかし、参加者にとってとてもつらいのは沈黙で、黙って発言を待たれてしまうと、ますます焦ってしまいます。その結果、思ってもいないことを口走ったり、不確かな情報を口にしたりすることは、その人にとっても不名誉なことになりますし、会議としてもマイナスにしかなりません。

ファシリテーターはしゃべりあぐねる本人に代わって間を埋めてあげて、場合によっては質問やかけ合いによって言葉を引き出す伴走者になってあげることが大切です。

オンライン会議を上手に仕切る方法

折しものコロナ禍で、私たちの働き方は大きく様変わりしました。どこにいても会議や打ち合わせが行えるようになったのは大きなメリットですが、一方で、「対面でなければやりにくい」「細かなニュアンスを伝えにくい」といった声もよく耳にします。

ファシリテーションもまた、オンラインによってとても難しくなりました。何か言いたいことがあるときでも、どう切り込んでいいのかタイミングがつかめなかったり、同時に声がかぶってしまうこともよくあり、オンラインではイニシアチブを握った人にばかり発言権が偏ってしまいがちです。その反面、名指しされれば黙っているわけにもパスするわけにもいきませんから、具体的な意見を用意していない人でも”しゃべらされる“ことがあるのもオンライン会議の厄介なところです。

では、オンライン会議において、ファシリテーターはどのように振る舞えばいいのでしょうか。こなすべき役割は、リアルの場合と基本的には変わりませんが、普段よりもややオーバーなリアクションを心がけるのがポイントです。

たとえば相槌ひとつをとっても、「へえ」「なるほど」と細かな合いの手を入れながら、いつもより少し多めにうなずくように心がけてみてください。相手の声がきちんと聞こえていること、そして、意見をきちんと聞いていることを態度で示して、話しやすい空気を作っていきましょう。声色や表情も同様です。少しだけ声のキーを上げたり、いつもより感情を込めて「そうですか!」とリアクションしたり、目を見開いたりしてみせることで、相手は自分が意味のある発言をしていると感じ、ノってくるものです。

オンライン会議は、自分の声がきちんと届いているのか、こういう話でいいのかと、誰でも不安になるはず。相槌を巧みに駆使して、発言する人に寄り添うことが大切です。

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いかがでしたでしょうか。

今回は会議における悩みの対応策を3つほどご紹介いたしましたが、ファシリテーション力は会議だけでなく、複数人がいる席でも使えるテクニックです。

いい意見が引き出せず議論が停滞してしまったときの対処法や、トチったり言い間違えたりしてしまったときの振る舞い方、時間内にすべての議論を終えるコツ、話があちこちに飛び過ぎて迷走してしまったときの対処法などなど、日ごろ皆さんが抱える悩みが、ファシリテーション力を養うことによって解決していきます。

ぜひ参考にしていただき、実りあるコミュニケーションを実現し、そこからクリエーティブな発想をどんどん生み出して、組織やチームをあなたのファシリテーション力で活性化していただけたらと思います。

(文=平石 直之:テレビ朝日アナウンサー)