「意識高いZ世代に戸惑う」上の年代が心得たい事

多様な価値観を尊重し、強みを掛け合わせる

このように、1人ひとりの価値観や目標に合わせてやる気を引き出していかねばならない。だとすると、お察しの通り、もはや上司1人が、全員一律のやり方でマネジメントしていくことは、限界がある。

上から降りてきた目標を分配して部下に持たせ、みんなに同じやり方で指導するだけではこれからの組織は成り立たない。それぞれの個性にあわせた育成支援や業績達成支援が必要になる。近年多くの企業が取り入れている1on1ミーティングは、まさしく部下1人ひとりの個別性に対応したマネジメントをおこなうための手法であり、多様な価値観を尊重されたいZ世代とは相性が良い手法だと言える。

一方で……だ。「話はわかるが、会社は学校じゃないし、上司は親でもない。そこまでやるのが上司の仕事なのか?」という方もいるかもしれない。もちろん、従来型のマネジメントのみでメンバーが育ち定着し、組織成果が出るのであればそれも良いとおもう。ただし、環境的にそれだけでは、特に一定以上の規模の組織は持続が難しくなってきているのが実態だ。

Z世代は、自社の利益だけを追求するような企業姿勢に敏感に反応し、ブランドよりも社会貢献性で商品・サービスを選ぶ傾向が強いといわれる。上の世代では配慮しきれない問題点を発見してくれるかもしれない。

あるいは、あえてまったく異なる価値観や視点を持つ先輩とチームを組ませてみるのも手段の1つ。この際、先輩後輩それぞれの弱点をお互いの強みで補完し合える関係が理想といえる。「柔軟な発想力はあるが、行動力が伴っていないZ世代」×「アイデアを形にするのは得意だが、自ら発想するのは苦手な先輩」のように、それぞれが学びを得られる(強みを生かして承認される)関係性をうまくつくることがマネジメントの腕の見せ所。チーム組成に科学を取り入れる会社も増えてきている。

意識の高い部下を一刀両断する前に

このように、Z世代の個性を認め、オールマイティーに卒なくこなせる人だけでなく、尖った強みを持つ人同士が相互補完することでより大きな価値を発揮するような組織が理想。その意味でも、上司には意識の高い部下のことを「夢ばかりが大きくて実態が伴っていない」と一刀両断する前に、彼らの視座の高さや社会貢献欲をどう組織で生かすかを考える余地がある。

多様性時代の上司に求められること。部下1人ひとりの個別性を意識したマネジメントが、必須の時代になってきたと言えるだろう。