なぜ今の若者は「人前でほめられたくない」のか

「どのあたりに座るのか」は永遠のテーマのようです(写真:jyapa/PIXTA)
ほめられたくない、目立ちたくない、埋もれていたい……。最近、こんな若者が激増している。
さらには、成功した人もしていない人も平等にしてほしがる、浮いたらどうしようといつも考えている、上司からの質問を同期に相談するというケースも後を絶たない。「もう、今の若いやつはわからん!」と頭を抱えたくもなる。
先生、どうか皆の前でほめないで下さい』は、イノベーションとモチベーションの研究家が、若者心理に迫った本だ。金沢大学と東京大学で教鞭を取る著者の金間大介氏は、若者たちの変化を日々、実感する当事者でもある。
「今の若者たちの行動原理や心理的特徴は『いい子症候群』というフレーズがぴったりくる」と言う。その理由とは――。

講義室のどのあたりに座るのがベストなのか

突然で恐縮だが、あなたは今、大学生だとしよう。

想像してほしい。大きなキャンパスの中、朝一の講義を受けるため、あなたは広い講義室に入ったところだ。そこでストップ。ここで1つ質問したい。あなたは今、講義室のどのあたりに座ろうと思っただろうか?

出所:『先生、どうか皆の前でほめないで下さい』

念のため言っておくが、大学の講義というのは、少人数で行う語学や演習系の授業を除き、座る場所は自由だ。

『先生、どうか皆の前でほめないで下さい』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

もしあなたがものすごい勉強家で、絵に描いたようなガリ勉なら、きっと前から3列目あたりに座るだろう。

あるいは、あなたが講師のことをこっそりと慕う奥手な大学生なら、講義の間ずっと講師を観察していられるように、最前列の端っこに座るかもしれない。

しかし、ほとんどの学生はそうではない。前日の夜は遅くまでSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を見ていたか、飲食店のアルバイトをしていたため、寝たのは真夜中をとうに過ぎたころ。したがって、今は眠くてしょうがない。

そもそも多くの学生は大学で勉強なんてするわけない。大学は勉強するところではない。キャンパスライフを送るところだ。キャンパスライフとは勉強ではない。よって大学では勉強しない。にもかかわらず、1限から大学に来ているなんて、それだけでほめてほしいくらいだ。これぞ神。

と思ったあなたは、きっと講義室の後方、しかも両翼のどちらかに陣取るのではないだろうか。そこならノートの上にスマートフォンを置いても教壇から見えることはない。

寸暇を惜しんででもスマホを見たい、というわけではないが、友だちが上げたストーリーを見てもいいし、片耳にイヤホンを突っ込んでユーチューブを見てもいい。この辺に座っていれば、いつも遅刻してくる友だちと合流できる。

以上を総合すると、後ろはだいたい埋まっていて、前の座席も両端は誰かが座っており、前方真ん中に空きが多い――という感じを想像するのではないだろうか。

出所:『先生、どうか皆の前でほめないで下さい』

詰め詰めで座る大学生

ただ実は、今現在の大学生はそういった座り方をしない。ポイントは学生同士の距離だ。明らかに密集して座るのである。

出所:『先生、どうか皆の前でほめないで下さい』

少し前、あるいは筆者が学生だったころは、隣を1つ空けて座るのが普通だった。隣の椅子の上にリュックを置きたいし、男同士で隣り合うと暑苦しい。1つ飛ばしくらいの距離なら、ちょっかいを出そうと思えばいつでも出せる。2、3人で並ぶこともあったが、両サイドどちらからも抜け出せなくなるような詰め方は、どうも落ち着かない。