「わざわざ○○する」が周囲の信頼度を上げるワケ

「わざわざ○○する」のが信頼度を上げるポイント。人生を幸せにしていくための「これからの仕事術」を、3回にわたってお伝えしています(写真:ペイレスイメージズ1/PIXTA)
「90歳まで現役」という時代がそこまで到来し、多くの人が会社・仕事と人生の関係性や仕事への向き合い方を見直すタイミングに来ています。労働を提供する対価として給与を得るという従来続いてきた仕事の仕方を捨て、仕事と人生の関係性をアップデートできれば、仕事も楽しくなり、幸せな人生を送れるのです。
大企業とベンチャー、プレーヤーとマネージャー、フィジカルとデジタル、ルーティンとクリエイティブ、グローバルとドメスティック、ありとあらゆる環境下で仕事を追求した必殺仕事人の美濃部哲也氏の著書『仕事の研究』から、人生を幸せにしていくための「これからの仕事術」を3回にわたってお伝えしています。今回は3回目です(1回目はこちら、2回目はこちら)。

基本的に、「for You」と「for Me」が人の心と行動に内在しています。

経験を積み重ねることで、「for Me」がどんどんと薄れていき、しまいにはなくなってしまう場合があります。そして「for You」が増えるほど、手を差し伸べてくれたり、一緒にやろうと言ってくれる人が増えていきます。気が付くと、賛同、賞賛、協力、依頼、感謝、信用など、仕事がよりよくなり、人生が豊かになるために大切なことが、あとからついてくるようになります。

「誰かのため」が成功につながる

大きな仕事の中心にいる人、誰かを感動させるような仕事を仕掛けている人、賛同や協力を多く集めている人において、自身の情熱が注がれる先は「自分」ではなく、「誰か」や「何か」だということが多々あります。それが結果的に、共感や賛同といった形で自身に返ってくるので、成功を収める可能性が上がっていくのです。

昨今の「パーパス経営」の流れもあり、社会や未来のため、つまり「for You」な考え方と経済的な成長を掲げる企業も増えています。

経営理念として掲げるだけでなく、経営者を筆頭にそこで仕事をする1人ひとりが、「for You」を基本に、専門性や「らしさ」で、社会や未来にどう貢献していくのか? を考えながら、行動にその想いを反映していくことが大切です。すると、掲げているパーパス(存在意義)と企業活動と仕事が1本の筋でつながっていき、やりがいを感じながら1人ひとりが仕事に取り組んでいける状態が生まれます。

「for Me」は連鎖を生まず、「for You」は連鎖を生んでいきます。「誰かや何かのために」というスタンスで、ある目的(=想い)の実現に向かって、自分の得意なことや好きなことをベースにした専門性で貢献していくという姿勢。それに人は引き寄せられます。

自分1人では実現できないようなことも叶えられるようになっていきます。「for You」を追求しながら仕事をしていくことで、人生が充実して豊かなものになっていくのではないでしょうか。

フランス人作家のサン・テグジュペリの「星の王子さま」にこんなフレーズがあります。「心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。かんじんなことは、目に見えないんだよ」。

目の前のものや人の背景にある想いや、それが生まれるまでにかかった時間や手間など、目に見えるものの背景や意味などを想像することが大切です。プロジェクトに携わっている人の動きの背景にある想いや、アウトプットに要したプロセスや時間などを想像することはとても大切です。なぜなら、互いにそういう視点を持てば、専門性に対するリスペクトは増していき、唯一無二のチームワーク感が生まれるからです。