脳の力を100%使えるようになる「8:8:8」の法則

限られた時間の中で、たくさんのタスクを片付けるためには、1つひとつの仕事を「短くやる」ことが重要なポイント(写真:8x10/PIXTA)
時間はないのに、やることはたくさんある──。日本のビジネスパーソンは、たくさんのタスクを抱えて、追われるような毎日を送っています。限られた時間の中で、たくさんのタスクを片付けるためには、1つひとつの仕事を「短くやる」ことが重要なポイントです。
いったいどうすれば? 10万部突破のベストセラー『トヨタの会議は30分』の著者で戦略コンサルタントの山本大平氏が、新刊『「すぐやる」よりはかどる!仕事を「短くやる」習慣』をもとに、3回にわたり解説します(第3回)。
 

脳がフル回転する環境を作る

仕事を短くやるためには、体と心のコンディションを整えて、脳をフル回転させられる環境を作ることが大切です。

寝不足で頭がボーッとしていたり、生活のリズムが極端に乱れていたのでは、脳が思うように働いてくれないため、冷静な判斷ができません。

冷静な判斷ができないと、やる気が起こらず、難しいタスクを後回しにするなど、仕事の先送りが多くなります。仕事を先送りしていると、不安や焦りで憂鬱な気分になり、ますます仕事が遅くなる……という悪循環に陥ってしまうのです。

体と心のコンディションを良好に保つためには、「睡眠不足」を軽く考えないことが大切です。やる気が起こらないとか、何となくダラダラしてしまうのは、意外と睡眠不足が原因であることが少なくありません。

寝不足が続いていると、脳の働きが鈍るだけでなく、感情も不安定になっているため、怒りっぽくなったり、すべてのことが面倒くさくなったりします。

ちょっとした言葉選びを間違って、それがトラブルに発展することもありますから、平常心を保つためには、「しっかりと寝る」ことがいちばんです。

例えば、翌日のプレゼン用に資料を作成する場合でも、夜通し作業をして100%の資料を作るよりも、資料作りは70%の仕上がりにとどめて、睡眠不足ではない状態でプレゼンに臨んだほうが、いい結果が出やすくなります。

寝ることによって、脳に余裕を持たせることができれば、臨機応変な対応が可能になるからです。

仕事の生産性を上げるためには、睡眠不足を慢性化させないことが大切です。寝る時間を確保するくらいなら、仕事を続けたほうが生産性が上がる……と考えている人も多いと思いますが、結果はまったくの逆です。

寝不足でボーッとしながら仕事をしても、無駄なことをやって遠回りするなど、効率が上がらないことは明白です。

中途半端にダラダラと仕事をするくらいなら、諦めてサッサと寝ることです。スッキリした頭で考えれば、少しの遅れなど、すぐに取り戻すことができます。

1日が24時間で回っていることは誰でも知っていますが、その24時間をどのように使うかは人によって異なります。

脳をフル回転させて仕事を短くやるためには、1日を「8:8:8」に明確に分けて考えることが、最も効率がよくなると思います。その内訳は、次のようになります。

① 8時間:仕事(タスクに集中)
② 8時間:睡眠(心身の疲れを取る、脳をリフレッシュ)
③ 8時間:プライベート(食事、入浴、家族サービス、デート、趣味)
 

この3分割を基準にして自分の生活を振り返ってみると、「どこにアンバランスが生じているのか?」がすぐにわかります。

仕事が8時間を超えているならば、睡眠時間にシワ寄せが来て脳が活発に働いていないか、家族サービスやプライベートの時間を犠牲にしていることが浮き彫りになります。

その8時間の「質」にも目を向ける必要があります。きっちりと目の前のタスクに集中できていれば問題はありませんが、ダラダラとやっているのであれば、睡眠かプライベートに影響が出てしまいます。どこかに歪みが生じることで、充実した毎日が送れていないことに気づくのです。