「感じのいい人」とそうでもない人の決定的な違い

(写真:EUI/PIXTA)
「初対面の人となかなか打ち解けられない」「いまいち人間関係が広がらない」。こうしたコミュニケーションの悩みは、顔を動かす(表情筋をコントロールする)ことによって解消できると、表情筋研究家の間々田佳子さんは言います。書籍『伝わる顔の動かし方 コミュニケーションは見た目が9割』より一部抜粋・再構成してお届けします。
 

「感じのいい人」は顔の表現力が高い

そもそもの話になりますが「コミュニケーションが上手」というと、どんな人をイメージしますか?

「初対面の相手に対しても自然な笑顔で接することができる」「ハキハキと積極的に話しかけられる」「言うべきことをしっかりと言える」「打てば響くような相づちを打てる」「こちらの話を聞いてくれそうな安心感がある」「あとに引きずらない注意の仕方ができる」……といったところでしょうか。

こうした「誰にとってもウケのいい人」「感じのいい人」に共通しているのは、どんな点でしょう。根っからの“陽キャ”な性格? いいえ、これらはすべて「顔の動かし方」に関係しているのです。

しっかりと歯の見えるほがらかな微笑み、意志を感じさせる目、とっさでの的確なリアクション……いずれも、顔のもつ表現力を最大限に引き出していますよね。

コミュニケーションをとるのがたくみな人は、顔を上手に使うことが、すでに身についているといえます。

全員がトレーニングで習得したわけではないでしょうから、自然にマスターできる環境で育ったのかもしれません。

両親など、周囲に明るい大人が多かったことなども影響するでしょう。

でも、もしあなたがこれまで顔の使い方を知らずにきたとしても、ここからのトレーニングで、そのレベルまで引き上げることが可能です。

頬アップトレ(画像:『伝わる顔の動かし方 コミュニケーションは見た目が9割』で紹介のメニュー動画より)

さらには、自分の顔の使い方だけでなく、相手の表情にも敏感になる――相手の表情から内面を推し量ることができるようになるのです。

表情で発信する力と、相手の気持ちを読む力、両方が養われていきます。こういった人付き合いの武器となる顔の使い方を、一緒に身につけていきましょう。

「コミュニケーション=笑顔」という思い込みを捨てよう

コミュニケーションの第一歩として、どれだけ表情が重要かをお話ししてきました。同時に強くお伝えしたいのは、コミュニケーション上手=笑顔、ではないということ。

「笑顔は最高のコミュニケーションツール」などといった記事をよく目にしますし、社員教育の現場などでも、まずは笑顔の練習から始める企業は少なくありません。ですから、そう思ってしまうのも無理からぬことです。

私のレッスンに訪れる生徒さんのなかにも「笑顔に自信がなくて……」とおっしゃる方の、なんと多いことか。そういう方々に「無理に笑顔をつくらなくていいんですよ」と話すと、非常に驚かれます。

でも、よくよく考えてみてください。あなたの知るコミュニケーション上手な人は、いつもニコニコしているばかりですか? 

いいえ、必要なときにはしっかりと自分の意見を言えたり、場をまとめたりする力をもっているのではないでしょうか。そして、あなた自身が目指したいのも、臨機応変に対応できる人なのではないでしょうか。

大切なのは、「いつも笑顔でいる」ことではなく「状況に応じていちばん的確な表情をつくれる」ことなのです。

その場その場を適当にやり過ごすのではなく、誠実に自分の思いを表情にのせること。そのために、その場にいる自分を俯瞰できること。

笑顔はあくまで、コミュニケーション手段のひとつです。けっして最終目標ではないことを忘れないでくださいね。