月50億PV「Amebaブログ裏側」を“中の人”に直撃

「X」をはじめ、短文投稿型SNSが主流の時代であっても、ブログをきっかけに一躍インフルエンサーとなるユーザーもいる

「アメブロ」で影響力を持つには、何が必要なのか。

「家庭料理の投稿」が数万PVを稼いだケースも

素直に「いい記事」が読まれやすいと話すのは、山本氏だ。

ユーザーの7割が「女性」で、人気ジャンルが「子育て」や「ファッション」の「アメブロ」でも、例えば、男性向けに書いた「独自の視点や体験談」を含む他ジャンルの記事が、突如として“バズる”チャンスはある。

【読まれるブログの近道?】読者注目の「アメトピ」入りを目指す
人気記事の一覧である「アメトピ」こと「Amebaトピックス」(画像:「©?Ameba」)

「アメブロ」内での注目記事をピックアップする、ホーム画面の「Amebaトピックス」(アメトピ)への掲載は、“バズる”ための近道だ。

「アメブロ」の記事を管理する同社のAmeba編集室では、常駐スタッフが日ごとに2000件程度の記事を確認

完全人力で既存タイトルを「15文字以内」に要約して、更新を重ねる。

他人が強く憧れるような「大きなトピックがなくてもいい」と解説するのは、「アメブロ」の編集部スタッフだ。

日常のささいな出来事を発信するだけでもよく、過去には「夫が喜んだおかず」として、家庭料理と短文を記載した女性の投稿が「数万」のアクセスを稼いだ事例もある。

【読まれるブログの近道?】「時流に沿った話題」を投稿する

トレンドを読むのも戦略で、コロナ禍の自粛期間では「手料理」の投稿に注目が集まったケースも。

新型コロナウイルスの“5類”移行後は「レジャー」「海外旅行」に関する投稿が注目されるなど、「読者は流行に敏感」だという。

編集室では、ブロガーの投稿を見て「文章がうまくなった」と成長を感じるほどブロガーに親近感をおぼえ、「いい投稿を正当に評価できる環境」を構築するべく新規ブロガーの発掘にも注力

とにかく「簡単な写真、短文な投稿だけでもよいので更新して、読者がブログ内を回遊できるように」するのが、シンプルに人気ブロガーへのチャンスをつかむコツだという。

ブロガーとして支持を得られれば、「アメブロ」公認ブロガーとしての活躍もある。「オフィシャルブロガー」「公式トップブロガー」だ。

前者は「世間的な知名度。メディア出演や著作物出版などの実績を総合評価」のうえで選出。いわゆる著名人が対象となる。

一般ブロガーであれば、狙うべきは後者。「投稿頻度やアクセス数、記事の品質」、さらに「ブログのフォロワー数、アクセス数」も加味して選出される。

目標に据えれば、投稿を続けるモチベーションにつながるはずだ。

「自分の当たり前」を発信するだけでも、意義はある

いざ、ブログを始めても三日坊主でやめてしまう。じつは、本稿の筆者も過去に何度も挫折立ち上げては放置……を繰り返して、自己嫌悪にさいなまれたこともある。

続けるコツはあるのか。「アメブロ」の編集部スタッフは「自分にとっての『当たり前』を発信しても、誰かの役に立つ」と背中を押す。

2024年9月でサービス開始から20周年。山本氏は、さらに先の未来も見据える(撮影:今井康一)
【読まれるブログの近道?】「テーマ」を設定し「更新しやすい環境」を

人気ブロガーでは「業務スーパー」「コストコ」が好きで、購入品をアップし続ける人も。アドバイスとしては「テーマを設けると更新しやすい」という。

継続は力なり。気軽な投稿を意識しながら、今日明日ではなく、長期的に「数十、数百、数千、数万とアクセス数を伸ばそう」と考えるのも大切と学んだ。

生活のありのままを伝える何気ない投稿が、インフルエンサーへの第一歩となる。短文ではなく長文で、思いの丈を述べられるのも「アメブロ」がなおも支持される理由なのだろう。

山本氏は「翌2024年9月で、サービス開始から20周年。マルチプラットフォーム時代で、ユーザーからの支持を得られるように努力を」と意気込む。

ブログはけっして“オワコン”ではなく、今日も読者とブロガーの絆を作り続けている

山本氏をはじめ、スタッフ一丸となり「マルチプラットフォーム時代」のけん引役に(撮影:今井康一)