生成AIで「ググる」が終焉し「コパる」へ移行の必然

ビジネス利用として情報を深掘りするとしたら、コパる場合は最初の回答に推しの子に関する新たな質問を加えれば情報が深掘りできます。

「なぜ人気なのですか?」「どんな人たちが楽しんでいるのですか?」といった具合です。このチャットを何度か繰り返すと、おそらく「推しの子」を知らない人でも「推しの子ブーム」が何なのかを極めて短い時間で理解することができるでしょう。

情報検索がググるからコパるに変わることで起きる働き方の変化は、タイパの変化です。実際、コパイロットに慣れてくると、これまでいかに自分がググることで無駄な時間を費やしていたかを思い知らされます。

一方でこの検索の仕方が一般的になると、大きな落とし穴が生まれます。それが「情報が正しくない場合がある」という生成AIあるあるな落とし穴なのですが、その話はこの記事の最後でまとめたいと思います。

ChatGPTエンタープライズで変わる働き方

さて、生成AIによる働き方の変化の2段階目の話をしたいと思います。何かを調べる際にググるのではなくコパることにある程度慣れた段階で、仮に自分が働く会社でも「ChatGPTエンタープライズ」が導入されたとします。いったい働き方はどう変わるのでしょうか?

これはある程度、ChatGPTエンタープライズがその社内のイントラ情報について学習を終えた後ではという前提になるのですが、結果として新入社員でもベテラン社員のノウハウを簡単に手にいれることができるようになります。

具体例としては営業やコンタクトセンターの現場で説明するとわかりやすいかもしれません。顧客から「この商品はうちのような会社で導入したら効果は出ますかね?」「こういう不具合が頻繁に出るのですけど、どうしたら出なくなります?」などと言った問い合わせを受けた場合で考えましょう。

以前であれば、「申し訳ないですが一度持ち帰らせていただいて検討させてください」とお断りしたうえで、会社に戻るのが標準手順だったことでしょう。それでググる代わりに先輩に尋ねるか、ないしは専門部署にその質問を回すことになります。

それがこれからどうなるのかを対比させてみましょう。ChatGPTエンタープライズを利用することまでコパると言っていいのかどうかは、ブランドの観点ではやや躊躇がありますが、ここではそのまま生成AIを使うことをコパると表現して続けてみたいと思います。

ChatGPTエンタープライズがきちんと会社のイントラネットに蓄積されたノウハウを学習しているという前提で言えば、「この商品をこの会社で導入すると効果は出ますか?」といった質問を具体的な商品名と具体的な顧客名で入力すると、チャット形式で回答が出るはずです。

「この会社が従業員数120名という規模を前提に考えると、商品Aの特性は活用できますが、BとCの特性はあまり効果が出ないかもしれません」といった回答が得られたとしたら、さらにチャットで「ではこの会社でBやCの効果まで得たい場合、最適な商品はどれでしょうか?」と入力すれば、「Xという商品を顧客に勧めてみてはどうでしょうか?」という回答が、そのスペックや期待効果とともに表示されるようになります。

これは「一度持ち帰って検討します」という対応と比較すれば、その場で顧客対応が進むという意味で営業であればはるかに成約確率が高くなることを意味します。

多くの職場がコンビニ化する

良い点としては仕事の生産性が大幅に上がることですが、悪い点を挙げると正社員の価値が下がるということが懸念されます。その究極の事例がコンビニ店員だと言えば理解しやすいかもしれません。コンビニの店員は日常業務で受発注から商品の受け取り、売り場への陳列など小売業で行うべきほとんどの仕事を非正規従業員の立場でこなしています。