北米で快進撃「ゴジラ-1.0」ヒットの“4つのカギ”

「現地にオフィスを持つことには多くのメリットがあります。まず情報の鮮度や精度が格段に上がります。

それによってスピーディにアクションを起こすことが可能になり、現地の関係会社としっかりと信頼関係を築くことで、日本の考え方や事情も伝わりやすくなります。そしてなにより、自社配給であれば興収からの利益が大きい。これから全世界で地域ごとにTOHO Globalの地域統括会社を立てていく戦略があります」

北米の次にどの国や地域に進出し、いつから自社配給を行うかは、日本映画界全体が気になるところだろう。しかし、植田氏は「まだお話しできない段階」とする。

「市場規模からすれば、北米の次に狙うべきは中国ですが、市場的に日本のコンテンツでヒットを狙うのがなかなか難しいという感触もあります。ここ数年見ているなかでは、中国以外のアジア地域、欧州、中東といったあたりも次の重要拠点になりえると考えています」

日本映画界にとって大きなビジネスに

そんな世界進出を見据えるTOHO Global。これからの軸になる戦略を植田氏に聞いた。

「ビジネス観点で重要なのはパイを増やすこと。それには地域を広げるのがいちばんわかりやすい。それをやりながら、同時に使っていただく単価を上げていく。映画館に来ていただくだけではなく、それを好きになっていただき、商品を購入していただく。そのサイクルを回していくことです。まずは北米で新しいことをやって、それを地域別のビジネスモデルにローカライズしながら、世界に広げていくという流れを作っていきます」

日本映画の市場として、国内から北米を地続きにしたTOHO Global。この先のさらなる世界各地への進出は、日本映画界にとってのビジネスに大きな影響を及ぼしそうだ。