仕事ができない人は“相手のニーズ”を知らない

仕事ができない人は「相手のニーズ」を捉えることができていないのかもしれません(写真:プラナ/PIXTA)
顧客相手でも、社内でも、仕事ができない人は「相手のニーズ」をしっかりと捉えられていない可能性があります。キーエンス出身のコンサルタントである田尻望氏の著作『いつでも、どこでも、何度でも卓越した成果をあげる 再現性の塊』から一部抜粋・再構成のうえ、相手の潜在ニーズの捉え方についてご紹介します。
 

どんな仕事でも「ニーズを捉える」ことが必要

成果を何度も出せる「再現性の塊」だけが知っている「仕事の考え方」を支える「仕事の核心」。それが「ニーズの捉え方」です。

すべての仕事の目的は、「相手に価値を伝えて、行動してもらうこと」。この価値の源泉がニーズになるのです。ニーズを正確に、深く捉えられている人が、「再現性の塊」として、いつでも、どこでも成果を出せているのです。

では、そもそも「ニーズ」とは何でしょうか? 簡単に言うと、ニーズとは私たちが「何かを叶えたい」「こうなってほしい」と思っていることであり、それは、人の心の中から出てくるものです。

マーケティングの領域では、よく「消費者ニーズ」「市場ニーズ」といった言葉が使われます。また、みなさんもよく日々の仕事で、「顧客ニーズ」「ユーザーニーズ」という言葉を使ったり、聞いたりしているのではないでしょうか。

法人が相手であるBtoBビジネスであれば、顧客(クライアント企業)のニーズは、「生産性をアップさせたい」「財務を改善したい」「CSRの向上を図りたい」「コストダウンしたい」「リスクを回避したい」などのように、経営者、そしてその会社で働く従業員の心の中の思いに紐づいています。

BtoCビジネスの場合はどうでしょう?

BtoCにおける顧客ニーズも、「何かを叶えたい」「こうなってほしい」というお客様の心の中の思いにあるのですが、もっと深く掘り下げていくと、その根源には、あるキーワードが潜んでいます。

それは「感動」です。

人が感じる付加価値の源泉・根源は「感動」であり、相手の真のニーズを叶えたとき、感動が生まれるのです。本当に仕事ができる人とは、お客様、相手に「感動」を起こせる人なのです。

人は感動が得られることに対してお金を払う

「感動する」とは、「感情が動くこと」「心が動かされること」ですが、多くの場合、「幸せな気分になる」という意味で使われます。

人は誰でも「感動したい」=「幸せになりたい」生き物です。ニーズの根源には「感動」があり、人は、感動が得られることに対して価値(付加価値)を感じてお金を払う、ということを覚えておいてください。

ここで「顕在ニーズ」「潜在ニーズ」の違いに触れておきましょう。「この望みを叶えたい」「こうなりたい」と常に思っていること(自分ではっきりと意識していること)が「顕在ニーズ」です。

一方、自分では気づいていないもの(意識していないもの)が「潜在ニーズ」です。「ニーズ」とは、人の心の中にあるものですが、自分ではっきりと気づいているものもあれば、気づいていない、時には、まったく知らないこともあるということです。

お客様(相手)のニーズを捉える際には、「顕在ニーズ」よりも「潜在ニーズ」を捉えることが重要になってきます。なぜなら、お客様は「自分が気づいていること」を伝えてもらったとしても価値を感じにくいからです。

お客様の反応は、「あーそれね」「うんうん」というレベルの反応です。しかし潜在ニーズを気づかせたときの反応はまったく違います。

「あ!確かに!」「そんなやり方が!?」「もっと早く知りたかった」のような反応になるのです。後述しますが、この「潜在ニーズ」の捉え方は、顕在ニーズを捉えるプロセスとはまったく違うのです。