「話し方」は言葉のテクニックでは良くならない

笑顔で会話する女性
「言い方」「伝え方」を工夫するだけではコミュニケーションは改善できません(写真:Komaer/PIXTA)
コミュニケーションを改善しようとしている人は多いでしょう。しかし、「言い方」を学んでも、一向に改善されません。コミュニケーションはむしろ「テクニック」よりも「マインド」が重要です。特に「相手の承認欲求」を把握することが最も重要です。その理由について、『アメリカの中高生が学んでいる話し方の授業』から一部抜粋・編集してお届けします。
 

「相手の承認欲求」を「言葉」から把握する

「コミュニケーション」と聞くと、私たちはついつい「言い方」「伝え方」を工夫することを考えがちです。たしかにそれらは大事なのですが、人とは表面上の言葉だけでなく、心と心で対話をするもの。

では、相手の心を満たすにはどうしたらいいのか。それが「相手の承認欲求」に着目することです。「相手の承認欲求」に応えることで、いい関係を築くのです。

では、相手の承認欲求を把握するためには、具体的に相手の言葉をどのように聞けばいいのでしょうか。そのためには3種のキーワードに注目します。それは承認欲求が表れる「リピートキーワード」と「割り込みキーワード」、そして「特別感キーワード」です。それぞれについて詳しく見ていきましょう。

承認欲求が表れる「リピートキーワード」

「リピートキーワード」とは、会話やスピーチの中で2回以上登場する重要なキーワードです。リピートキーワードは3種のキーワードの中で、最も見極めやすいキーワードです。

たとえば、私の知人が「親が自動車の免許を取れってうるさくて」と言うので、「免許を取りなさいって言われているんですか?」と尋ねたら、「そうではない」と言います。「免許を取りなさい」とは言わないそうなのですが、会話の端々に「免許があればねえ」とか「あそこに免許センターがあるよね」など、「免許」というキーワードが頻繁に出てくるのだそうです。

それでさすがに、「免許を取ってほしいということかな」と思ったそうです。このような場合は「免許」というキーワードの向こう側に、「免許を取ってほしい理由」が隠れているのです。

共感しながらその理由を知ろうとすると、承認欲求が見えてきます。他にも女子会で集まって話をしているときに、どんな話題になっても「彼だったらなんて言うかしら」とか、「でも彼がどう思うかしら」などと「彼」というキーワードがリピートキーワードになっている女性は、みんなに恋人のことを話したくてウズウズしているのです。

「USJ行ったことある?」という話題になれば、「あ、彼が行きたいって言ってた」とどうしても「彼」が登場します。このようなときに、その女性に対して誰かが「そういえば、あなたの彼ってどんな人なの?」とか「彼とはうまくいっているの?」と尋ねてあげたら、堰を切ったように語り始めるでしょう。

このように、リピートキーワードから相手の承認欲求を把握することは比較的容易だと言えます。

承認欲求が表れる「割り込みキーワード」

次に相手の承認欲求を把握しやすいのが「割り込みキーワード」です。これは会話の流れに関係なく、唐突に割り込ませてきたキーワードがあれば、そのキーワードに相手の承認欲求が表れていることを示します。

たとえば、友人と集まって最近読んだ芥川賞作品や直木賞作品などの小説の感想を述べ合って盛り上がっているときに、「そういえば僕がフランスに行ったときはさ」と唐突に異質な話題を押し込んでくる人がいます。

このようなときは、自分がフランスに行ったことがあることを知ってもらいたいという承認欲求が表れているのですね。また、ママ同士のランチ会で自分か夫が有名大学出身であることや、子どもが有名大学に合格した話をしたくて仕方ないときは、会話の途中に有名大学の話題で割り込んできます。