アマゾン参入で「ふるさと納税」に起こる大変化

仲介サイトや自治体関係者への取材によると、アマゾンの脅威は次の2点に集約される。1つが、物流を握っていることだ。巨大EC事業者であるアマゾンは倉庫や配送網を独自に抱えている。通常の商品の物流に、ふるさと納税の返礼品を追加することができ、既存の仲介サイトと比べてスピーディーな配送や、費用負担の軽減につながる可能性が高い。

もう1つが、手数料や物流の費用負担が減ることで、同じ返礼品を得るのに必要な寄付金額が下がる可能性だ。「総経費は寄付金額の5割まで」の上限がある中で、返礼品以外の手数料や物流費を下げられれば、返礼品の調達費に上限の3割まで使いやすくなる。

過去に「ふるさとチョイス」が競合より低い手数料率5%で運営していた際に、同じ自治体の同じ返礼品であっても、他社サイトより低い寄付金額で済むケースがあった。アマゾンがこうした「価格優位性」を持つことになれば、利用者獲得の原動力になりうる。

拍車をかけるのが広告だ。「250万円+3.8%」の手数料では、寄付金額が大きくなるほど経費率が下がっていき、自治体が広告を増やせる。一般の寄付者から見れば、すでに多額の寄付を集める上位の自治体ほど「お得」に映り、目に留まる機会も増えるだろう。