コンサル業界転職支援のプロが教える、面接で絶対に準備すべき“5つの質問”と答え方

(1)なぜコンサルタントになりたいのか

 コンサルタントに対する志望動機を述べる際のポイントは主に3点です。

 1点目は、「顧客志向」です。コンサルタントは高額なフィーを頂いて顧客のために仕事をしますので、スキルアップや経験といった自分本位な理由ではなく顧客志向のマインドを伝えましょう。

 2点目は、「必然性」です。「コンサルタントでないといけない理由」を語らなければ相手は納得しません。コンサルタントが問題解決のプロフェッショナルである点を意識した上で志望動機に落とし込みましょう。

 3点目は、「実体験」です。企業に対するコンサルタントの必要性や社会動向などを一般論的に語るのではなく、「どんな経験からコンサルタントになりたいと思ったのか」を実体験ベースで語りましょう。実体験によって感じた思いに対して他人がそれを否定することはなかなかできませんから、納得感の醸成につながります。

 5つの質問例の中でもこの質問が最重要であり、ここで面接官が納得しないと面接を通過することは基本的にありません。最も力を入れて対策すべき事項ともいえます。

(2)コンサルタントになって何がしたいのか

「企業の問題解決がしたい」「困っている会社を助けたい」といった抽象度ではなく、“どんな問題”を解決したいのか、“どのように”貢献したいのかといった志向をしっかりと整理しておきましょう。業務領域や、さらにその中でもどんなテーマに興味があるのかまで整理するとよろしいかと思います。コンサルティングのテーマ例としては、各社のホームページに記載の事例集なども参考にしてみてください。

(3)現職の経験から何が活かせるのか

 書類対策の章でもお伝えしましたが、具体的な活躍イメージを持ってもらうことはとても重要です。職務経歴書では、「実際にどんな経験をしてそのスキルを得たのか」というふうに過去(=実際にやったこと)に軸足が置かれるのに対して、面接ではそれに加えて「そのスキルを活かして具体的にどんな活躍ができるのか」というふうに未来(=入社後の貢献)の軸でも語れるようにしておきましょう。この準備にあたっては、コンサルタントの業務内容に対する理解が必要であるということは言うまでもありません。

(4)現職でどんな事を考えながら仕事をして、どんな工夫をしてきたのか

 こちらも、概要は書類対策の章に記載の通りです。「成功・成果を振り返り、その再現性を自分で認識できている」ということを相手にしっかり伝えましょう。事業会社からコンサルタントに転職する場合、業務内容や成果そのものは転職先に持っていくことはできません。ですから、成果そのものではなく、その過程で問題がどこにあって、どう打ち手を考えて、打ち手を実行する際の難しさやそれを乗り越えるためにいかに工夫したのかをしっかりと整理しておきましょう。

(5)自社の課題は何か

 自社の課題を聞かれた時に、多くの方は自分の業務・しくみ面の課題を答えてしまいがちです。コンサルタントの使命は経営課題の解決ですので、その適性が高い人は日頃から自社を経営視点で捉えているものです。よって、課題を問われた時にはしっかりと経営レベルの課題を話すようにしましょう。とはいえ、現場業務に邁進するなかで常日頃から経営視点でい続けるのもなかなか大変かと思いますので、自社のIRやトップメッセージなども参考にするとよろしいかと思います。

 前回・今回の記事では、コンサルティングファームについて、その中途採用の選考における概要や対策のポイントをお伝えいたしましたが、弊社にご登録いただいた候補者様に対してはより踏み込んだ、具体的な対策を個別で実施させていただいております。また、弊社HPには各コンサルティングファーム幹部のインタビュー記事や業界情報を多数掲載しておりますので、ご参考いただけますと幸いでございます。

(文=成塚健史/ムービン・ストラテジック・キャリア)

【筆者プロフィール】

成塚 健史

慶應義塾大学理工学部卒業。キヤノン、日立コンサルティングを経てムービン・ストラテジック・キャリアに入社。同社では、製造業や商社の方を中心としたコンサルティングファームへの転職支援ならびにコンサルティングファーム出身者のポストコンサル転職支援等に従事。

ビズリーチのヘッドハンターランクにてSランク獲得(執筆時)

株式会社ムービン・ストラテジック・キャリア

20年以上にわたり日本初のコンサル転職支援特化エージェントとして、コンサルティング業界への転職活動を支援。長年実績を重ねてきた結果、複数の媒体から日本No.1のエージェント表彰を受けるなど、コンサルティング業界に関する専門家集団としてのユニークなポジショニングを確立しております。