高学歴の発達障害者がつまずく会社、出世する会社…「クセの強い人」を生かす社会を目指す

 近年、この障害者枠での採用に発達障害の人を積極的に採用する企業も増えてきています。問題点としては、確かに給料が安いことが挙げられます。なかには報奨金目当てに障害者を安く雇用して、障害者に単純な軽作業をさせている企業があるのも事実です。しかし、発達障害の人の特性を生かした就労を、新しいビジネスにしている企業も出てきています。

――これからは多様な人が共存しているだけでなく、相互に機能していくことが重要だともいわれていますが。

本田 ダイバーシティとインクルージョンですね。国籍や性別、年齢などが多様な状態がダイバーシティですが、それがさらに進んで、多様な人材が相互に機能することを前提にした社会づくりがインクルージョンです。障害者もその多様性のなかのひとつに過ぎません。そのためにも、発達障害について知ることは大事です。知るだけでなく、偏見なく知っている必要がありますが、まだまだ浸透しているとはいえない状況です。

――最後に「クセの強い人」との付き合い方を教えてください。

本田 その人の「地雷」を踏まないことです。その人がいちばん興味を持っていること、その人が得意なことを中心に付き合ったり仕事をしたりして、その人がいちばん苦手とするところとか、その人の怒りや戸惑いなどの感情に触れる部分については避けることです。これは発達障害であろうがなかろうが、すべての人間関係の基本だと思います。

(構成=兜森 衛)