がん患者「家族」、計り知れない苦悩 接し方、死後のお金のこと…一人で悩まず支援センター等へ相談を

 しかし、共働き世帯の増加に伴って、夫が非正規雇用、妻が正規雇用というケースも珍しくない。「今は正社員の妻と一緒だから、住宅ローンや子どもの教育費がまかなえているが、自分一人で家計を支える場合が心配」という場合には、経済的なアドバイスが不可欠だろう。

 いずれにせよ、がん家族にも相談できる場はゼロではない。いろいろなことが大変で辛いのであれば、自分ひとりで抱え込まず、病院の医療従事者や、全国にあるがん相談支援センターなどに相談してみよう。前述の「家族外来」のように専門科を設けている病院もあるし、酒井さんのようながん家族を支援するボランティア団体もある。

 それでも「相談するほどではない……」と躊躇する人には、次のような資料をお勧めする。いずれも無料でダウンロードできるので、患者に接する今後のヒントが見つかるかもしれない。

●国立がん研究センターがん情報サービス

「家族ががんになったとき」

●NPO法人キャンサーネットジャパン

「【2018年改訂】もっと知ってほしい 大切な人ががんになったとき すべてのがん」

「【2018年改訂】もっと知ってほしい 大切な人ががんになったとき 女性のがん」

「【2019年発刊】もっと知ってほしい大切な人ががんになったとき 血液がん」

(文=黒田尚子/ファイナンシャル・プランナー)

●黒田尚子/ファイナンシャル・プランナー

1969年富山県富山市生まれ。立命館大学法学部卒業後、1992年、株式会社日本総合研究所に入社。在職中に、FP資格を取得し、1997年同社退社。翌年、独立系FPとして転身を図る。2009年末に乳がん告知を受け、自らの体験から、がんなど病気に対する経済的備えの重要性を訴える活動を行うほか、老後・介護・消費者問題にも注力。聖路加国際病院のがん経験者向けプロジェクト「おさいふリング」のファシリテーター、NPO法人キャンサーネットジャパン・アドバイザリーボード(外部評価委員会)メンバー、NPO法人がんと暮らしを考える会理事なども務める。著書に「がんとお金の本」、「がんとわたしノート」(Bkc)、「がんとお金の真実(リアル)」(セールス手帖社)、「50代からのお金のはなし」(プレジデント社)、「入院・介護「はじめて」ガイド」(主婦の友社)(共同監修)など。近著は「親の介護とお金が心配です」(主婦の友社)(監修)(6月21日発売)