「JTBって何?」JTBを知らない大学生…社会的背景と就活生の現実

新卒人気とは裏腹に下降の道を辿るJTB…学生人気への影響は?

 離職率は高いとはいえ、これまで新卒人気が高かったJTBだが、今回話題となった慶應大生のように、今やその知名度は低下傾向にあるのだろうか。

「さすがにJTBをまったく知らない学生が大多数になっているということではないと思います。ですが、傾向として“旅行代理店を使ったことがない若者が増えている”というのはあるでしょう。最も大きな原因は、やはりインターネットの普及がにあると思います。エクスペディアやトリバゴ、トラベルコ、といった旅行比較サイトはいまや数多くありますので、特に若い世代ではわざわざ旅行代理店を使うという人は格段に減っています。

 もちろんJTBも現在インターネット事業を進めていますが、どうしても既存事業のシェアが大きく、リアルほどの存在感は示せていない印象があります。

 また、JTBはコロナ禍の影響もあり、21年3月期に過去最大となる1051億円の最終赤字を記録してしまい、大規模なリストラを敢行したという報道も記憶に新しいところです」(同) 

不景気を生き抜く新卒社会人に求められる“今を見るスキル”

 最後に、現在の学生の就活事情を総括していただいた。

「Z世代は金銭面で潤うといった物理的報酬よりも、精神的報酬を優先する傾向がありますが、日本経済はいま下降局面に入っています。そのため、安定した物理的報酬を求める学生もまだまだ多いのが現状。しかし、現在のような“サバイバルの時代”において、親世代が体験してきた価値観で、JTC系の斜陽期と言ってもいい業界や、企業に就職を目指す学生が多い状況には不安を感じざるをえません。70歳まで働かないといけないと言われる時代ですから、自分の強みを生かして長く働いていける企業の条件を、自ら問い直すタイミングに来ているのかもしれません」(同)

 慶應大生の発言の背景には、人気に陰りが見えてきたJTBがそもそも就職先として視野に入っていなかったからなのかもしれない。日本の企業と学生の未来はどこへ向かうのだろうか――。

(文=A4studio)