ビジネスを大きく左右する「最強のビジネス会食・攻略マニュアル」…損得勘定は禁物

――子供の教育費と住宅ローンを抱えていれば、おおむね可処分所得は低くなります。

yuuu そういう上司の小遣いは月3万円かもしれません。会食で身銭を切れるような経済力は持っていません。したがって予算オーバーを防げる飲み放題付のコースを選んだほうが安全です。

手土産に単に有名ブランドの品を渡すことはNG

――夜の会食を一次会でお開きにするのが、二次会まで開いてタクシーを手配するのか、その区別はどう考えればよいのでしょうか。

yuuu 例えば相手側に小さなお子さんがいらっしゃるとか、遠方から通勤されているなどの情報を得ているとか、過去の会食で一次会で終えることが多かった場合は、一次会で終えるという仮説を立てて、同時にプランBも用意しておきます。相手側が「今日はもっと飲みたい気分だね」と言い出すかもしれないので、二次会の店を「もしかしたら行くかもしれない」と仮予約を入れておくのです。予算の問題もあるので、二次会に流れる可能性もある時には、一次会の予算を減らしておくことが大切です。

――二次会でスナックに行くと、誰かが「一人一曲!」と言い出して、無理やり歌わされることが少なくありません。それが非常に苦痛な場合、カラオケのない店を選ぶなど防衛策は考えられますか。

yuuu きわめて悩ましい問題です。確かにカラオケの嫌な人は結構います。ただ、会食相手の上席者がカラオケを好むことをわかっていたら、上司への相談次第ですが、相手によってはカラオケのある店を選ぶように指示されるのではないでしょうか。「下手でもいいから歌えよ」と言われたら「歌えません」とは言いにくいでしょうから、一曲だけ何とか歌える曲を準備しておくことが、現実的な対応策だと思います。

 これは例外的な事例ですが、会食の日はカバンの中に必ずリコーダーを入れておいて、二次会で歌わざるを得ない場面になったら「自分はリコーダー専門です」と言って一曲演奏する人がいるそうです。「こいつ、持っていったな」とインパクト付けをして、歌わずに二次会を乗り切っていると聞きました。

――手土産については、慣行として用意したほうがよいのか。それとも仰々しくなるので、そこまでの必要はないと考えてよいのでしょうか。

yuuu  ケース・バイ・ケースでしょうね。例えばお子さんが受験を控えていることを知っていたら、太宰府天満宮の御守りを調達して手渡せば500円で済みます。しかし「自分の子供の受験を考えて手土産に御守りをくれた」と思われれば、1万円の手土産を渡すよりも相手の心は動きます。あるいは奥さんがリラックスできるグッズを手渡すとか、料金の多寡ではなく、相手のシチュエーションに想像を働かせて、相手を思っていることを伝える品を選ぶことです。

――手土産の定番になっているような有名ブランドのお菓子は、あまりふさわしくないのですね?

yuuu 単に有名ブランドの品を渡すことは、一番良くないパターンです。ただ何かを渡すだけというのなら、「貸しをつくろうとしているな」と勘繰られてしまうので、むしろ渡さないほうがいいのです。菓子折りなら「これは自分が昔から通っている店のもので、ぜひ食べていただきたい」というように物語を添えられる品がふさわしいと思います。

相手にどう思われるかが全て

――yuuuさんが会食で失敗した経験があれば聞かせてください。

yuuu クライアントの担当幹部が異動するので送別会を開いた時の経験です。上司に「壮大にやろう。お前は二次会の装飾をゴージャスにやれ」と指示されたので、DIYショップでいろいろなグッズを買って、二次会の店内を装飾しました。ところが、その幹部も上司もブチ切れてしまったのです。