快活CLUB、ドリンクバーも有料化へ…ウリの無料サービスを次々と有料化の狙い

 当サイトは6月13日付記事『快活CLUB、なぜ人気サービスを続々廃止するのか…不満続出も、すべて想定内か』で快活CLUBの値上げの背景について解説していたが、改めて以下に再掲載する。

――以下、再掲載――

 漫画・ネットカフェチェーンの大手「快活CLUB」が、人気サービスを次々と終了させており、ファンから不満が続出している。

 無料モーニング廃止、シャワー無料&タオル廃止、ソフトクリームシロップ撤去など、快活CLUBのウリにもなっていたサービスが、どんどん廃止されているのである。

 2021年度の売上高は469億3200万円にも上り、日本経済新聞社が昨年10月にまとめた「サービス業調査」にて、漫画やネットカフェを指す“複合カフェ”業界における売上高1位を獲得していた快活CLUBに、何が起こっているのだろうか。

 そこで今回は、業界事情に詳しい流通ジャーナリストの西川立一氏に、快活CLUBがなぜ人気の各種サービスを取りやめる事態に陥ってしまっているのかなどについて、解説していただいた。

ネットカフェ業界でシェア1位の快活CLUB、親会社は紳士服のAOKI

 まずは快活CLUBの出自について振り返っておこう。

「2003年、多角化経営を進めていた紳士服チェーン店の大手AOKIグループが、ネットカフェ事業として快活CLUBの1号店を幕張(千葉県)にオープンさせました。その後、快活CLUBを続々とチェーン展開していき、紳士服事業に匹敵するAOKIグループの経営の屋台骨として存在感を強めていったのです」(西川氏)

 そんな快活CLUBは、今やネットカフェ市場で4割以上のシェアを占めているといわれている。

「もともとネットカフェ市場は個人経営のお店が多く、大規模チェーンがなかったブルーオーシャンでしたが、そこにAOKIが参入して蹂躙していったからです。AOKIは紳士服事業やカラオケ事業で店舗をたくさん持っており、それらの不採算店などを業態転換させて快活CLUBとしてオープンさせていったことも、功を奏したのでしょう。ちなみに、快活CLUBはフランチャイズ展開しておらず、全店が直営店なので利益率が高く、気づけばAOKIの主力となっていたというわけです」(同)

 だが快活CLUBも、ここ数年は少々苦しい状況にあるという。

「まず、ネットカフェ業界全体が縮小傾向なのです。10年ほど前に比べると市場規模は約半分にまで下がっています。一気に普及していったスマホに人々の可処分時間を奪われたことが大きな要因でしょう。ネットカフェのもうひとつの売りであったレンタル漫画も、漫画アプリの普及により、スマホで読む人が増えてしまいましたしね。

 さらにコロナ禍も痛手でした。ネットカフェはブースごとに仕切られてはいますが、それでも個室の上部や下部は空いているので、同じ空間に大人数が滞在することが前提となっていたサービスです。そのため感染リスクへの懸念から客数は減少しました。コロナ禍の影響は、営業利益の推移を見れば明らか。2018年度の営業利益は約15億円の黒字でしたが、新型コロナウイルスで外出制限や外出自粛がされていた2021年度は約30億円の赤字に転落してしまっていたのです。ただ、コロナ禍の終息が見え始めていた2022年度は約20億円の黒字に復活しています」(同)

各種サービス廃止の背景には物流コストの増加とターゲット層の変化

 ここからは不満続出の要因となっている各種サービスの廃止について伺おう。

「無料モーニング廃止、シャワー無料&タオル廃止、ソフトクリームシロップ撤去、ナイトパック料金廃止などがあります。また、フードメニュー値上げ、深夜店員不在でフード提供不可、学割割引率低下、土日追加料金値上げなど、実質的な値上げやサービス低下の方向に変更されたものもあります。それらの廃止・変更の背景にあるのは、先ほど解説したネットカフェ需要の低下に伴う長期的な売り上げ低下を見越した、運営経費の整理といったところでしょう。