FF16・大コケ論は正しいのか…前作から半減、スクエニはPS5販売台数を理由に

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スクウェア・エニックス「ファイナルファンタジー16」(「amazon.co.jp」より)

 世界的人気を誇るゲームシリーズ「ファイナルファンタジー」(スクウェア・エニックス)の最新タイトル「ファイナルファンタジーXVI」(以下、FF16)が6月22日に発売。発売初週の累計販売本数は全世界で300万本超え、国内で33万本超えとなり、改めて人気の高さを見せつけたが、この数字を受けてSNS上では「大コケ」だとする声も続出。確かに2016年11月発売の前作、FF15の初週累計販売本数は全世界で500万本、国内で69万本であり、国内では半減となるなど単純に数字上では下落。FF16の主なプレイ基盤となるゲーム機・PlayStation 5(PS5/ソニー・コンピュータエンタテインメント)の普及状況とも重ね合わせるかたちで議論を呼んでいる。

 1987年の第1作発売から今年で37年目となる同シリーズ。シリーズの累計販売本数(ダウンロード含む)は約1億6000万本に上り、「スーパーマリオブラザーズ」や「ポケットモンスター」「ドラゴンクエスト」と並び、日本が世界に誇るゲームタイトルの一つだ。そんなFFの最新作。全世界で300万本というセールスが大きな数字であることは間違いないが、たとえば1997年発売のFF7が叩き出した世界累計1280万本以上という数字と比較すると、一時と比べると勢いに衰えが見えているといえるのかもしれない。

 スクウェア・エニックスは米国のゲーム・エンタテイメントメディア「IGN US」の取材に対し、FF16の販売本数について次のように見解を示している(7月21日日付記事“Square Enix Responds to Final Fantasy 16 Sales Concern, Points to PS5 Install Base”より)。

「PS5の世界出荷台数は3800万台であり、FF16は発売後数日間で世界で300万本を売り上げた」

「高い評価を得たFF7リメイク版の販売本数、当時のPS4と現在PS5の保有ユーザー数の違いなどを考慮すると、FF16のユーザー定着率は非常に高いと評価できる」

「当社はFF16の売上の初動は非常に強いと考えている」

 ゲーム業界関係者はいう。

「スクエニ的には想定以上でも以下でもなく『予想どおりの売上』という結果だろう。FF7の対応ハードだった初代PSは世界で累計1億台以上が売れたが、PS5は2020年の発売から約3年が経過した現時点でも3000万台。スクエニがあえてPS5の販売台数を理由の一つとして説明しているのは、稼働するゲーム機の普及状況を踏まえればFF16のセールスは決して低いものではないと強調したいのだろう。実際のところ、PS5保有者の約10人に1人がFF16を買っているわけで、これはかなりすごい数字。これだけコアなゲームユーザーに向けに作り込まれたタイトルが初週で300万本も売れるというのは、世界中でがっちりと固定ファンをつかんでいる証し。第1作目の発売から37年が経過してもこれだけ新作が売れるというゲームシリーズは、世界でも数えるほどしかなく、メーカーは胸を張っていい結果。少なくても『大コケ』という評価は正しくない」

 当サイトは8月2日付記事『販売本数が桃鉄の10分の1以下…「FF16」凋落論が的外れな理由、PS事情も』で「FF16」凋落論を検証していたが、以下に改めて再掲載する。

――以下、再掲載――

 6月22日にスクウェア・エニックスより発売された「ファイナルファンタジーXVI」(以下、FF16)をめぐる議論が、ネット上で加熱している。1987年発売の第1作「ファイナルファンタジー」(以下、FF)から始まり、国内外を問わず数多くのファンが熱狂してきたFFシリーズのナンバリングタイトルとなる本作。ディテールまでつくり込まれた美麗なグラフィックをはじめ、シリーズ初となる本格アクションに振り切ったバトルシステム、暗く重い設定のストーリーが話題を呼んでいる。なかには、そのゲーム性に難色を示す声も一部見られるが、海外レビュー集積サイト「metacritic」によれば、FF16はメタスコア88点を獲得。総合的に見れば、本作の評価は高めと見るのが順当だろう。