政治献金禁止のNTT、子会社等から自民党に1億円献金…NTT法廃止に影響か

 NTTはHP上で「政治資金規正法に則り、政治献金は行っていません」としているが、山岸純法律事務所代表の山岸純弁護士はいう。

「政治資金規正法は、第22条の3、2項で『国から資本金の出資を受けている会社は、政治活動に関する寄附をしてはならない』と明記しています。違反した場合、26条の2により3年以下の禁固刑や50万円以下の罰金が科せられます。

 日本電信電話株式会社(NTT)は政府から資本金が払われているところ、ニュースで謳っている『NTT企業グループ』はNTTと資本関係があるわけですから、『政府のお金がNTT企業グループの資本となっている』と評価されても仕方ないでしょう。刑罰がある法律は厳格に適用しなければならず、『そう評価できる』というだけでは刑罰を適用することはできませんが、NTT側は企業としての社会責任が問われます」

 また、中央省庁官僚はいう。

「『即違法』ではないものの、ドコモはNTTの完全子会社、NTTデータは株の過半をNTTが握る企業であり、NTTがグループ企業を使って政権与党に献金しているという構図。客観的な構図的にも『法の抜け穴をついている』といわれても仕方なく、完全にシロとはいえない。

 これまで分離・分割が進められてきたNTTグループだが、ここ数年は揺り戻しが生じて、NTTデータとNTTリミテッドの統合やNTTによるドコモの完全子会社化など『大NTT』復活の様相を呈しつつある。特に海外進出の拡大を狙うNTTにとって、時代に合わないユニバーサルサービス責務や研究成果の開示義務、外資規制などは足かせになる。そこでNTT法の改正ではなく一つ飛びで廃止の動きが政治主導で出てきていることに対し、他キャリアが強く警戒している。ドコモの市場支配力の向上につながりなねないNTTによる完全子会社化を国があっさり認めた前例もあり、NTT法廃止でなし崩し的にNTTが完全民営化を果たして巨大な組織力と『特別な資産』を武器に事業を展開することは、他キャリアにとっては脅威になる」

 ドコモ以外のキャリア3社が4日に開いた会見では、各種通信料金の高止まりやサービス多様化の停滞への懸念も示された。また、NTT法廃止の影響についてKDDIの高橋社長は「各社が進めている通信サービスすべてに影響が出る可能性があります。特にモバイルサービスについては根幹となる特別資産をNTTさんがお持ちなので、それが影響するサービスすべてに影響が出てくる可能性があります」と語っている。

(文=Business Journal編集部、協力=山岸純弁護士/山岸純法律事務所代表)