X社が分析:フォロワー数に関係なくバズり可能、入口は1300リツイート

 膨大なデータに高度な分析処理を行い、それをシンプルな姿に落とし込み、ポストが拡散に至るユーザー心理などを細かくカテゴリ分けし、この分け方も直感的でわかりやすく、かつ、その内容を詳しく解説しています。単なる市場データ的な資料でなく、極めて実践的な内容のため、Xの活用を企画し運営する担当者はマニュアルとして使うことができます。

 レポートの後半では具体的なテーマを設定し、ターゲットとなるユーザーの利用シーンを想定しながら、レポート内で解説している方法論にあてはめた実践的な運用例をまとめています。最後の20ページぐらいを使って各事項の簡潔なまとめを掲載しているので、忙しい人はそこだけ読めばいいつくりになっています」

 澤井氏はレポートのなかで特に注目すべき点について次のようにいう。

「Xでの拡散について、これまで『多分こうだろう』と思われてたことを、データを用いて裏付けし、公開したというのは意義深いです。たとえば、以下のような内容です。

 ・深夜1~5時がリツイートの頻度が高い
 ・静止画や動画があると拡散されやすい
 ・拡散されやすいのは『クラフト(絵、工作)』がトップ

 また、フォロワー数の影響はやはり無視できないとしつつも、フォロワー数に関係なく誰でもバズを起こせるチャンスがあるという事実を明文化している点は、Xのユーザーに希望を与えるものであり、一消費者の発言が社会に大きな影響力を与えるということを意味しています」

 Xに限らず、企業がSNS活用の効果をより大きくするために必要なこととは何か。

「サイト上で新サービス/メニューやキャンペーンなどの更新情報をユーザーが知るには、サイトにアクセスするしかありませんが、アクセスしない間に重要な情報が掲載されるという事態が起こり得ます。そうした事態による機会損失をなくすために、SNSを運用し、サイトにアクセスしてきたユーザーをフォロワーにすることでタイムリーに情報を伝え、サイトへのアクセスを誘導するという『ユーザの囲い込み』も重要です」(澤井氏)

活用例

 レポートの後半では具体例として、フライドポテトを扱うブランドがXを活用して定番としての購買頻度の回復向上策に取り組むと仮定。

・Audience:「高校生」をターゲットにする
・Moment:高校生が平日4回外に出ている学校帰りの「放課後」

 このように設定し、放課後の高校生がポテトについてどのような会話をしているのかを彼らのツイートから探ると、ポテトの食感についてさまざまな好みを持っていることがわかり、16の熱量から「主張で広がる:同調」を使い、「#ポテトシナシナカリカリ選手権」という企画を実施。前述の「拡散ドライバー」を考慮し、「画像」を使用するために文字数を120文字以下に調整し、リツイートを獲得しやすい15時台に投稿するという結論になるという。

(協力=澤井貞夫/株式会社GxPマーケター兼コンテンツ ディレクター)