TikTok「宿泊キャンセル料回避の方法」投稿→ある温泉民宿がガチギレ

 宿泊予約の変更というのは可能なものなのか。東京の老舗ホテル従業員はいう。

「ホテルや旅館によって違う。たとえば国内系の老舗ホテルであれば、そのホテルの公式サイトや電話などで直接予約したものに関しては予約変更が可能なケースが多い。ただホテル予約専用サイト経由の予約だと変更不可なこともあり、いったんキャンセルして再度予約するというかたちになるだろう。地方のチェーン系ではない小規模な旅館などは、その時期の客室の空き状況などに応じて柔軟に対応しているケースが多い」

 では今回問題となっているTikTokに投稿された手口によるキャンセル料回避というのは可能なものなのか。

「可能なところもあるし、無理なところもあるが、さすがに前日の予約変更となればキャンセル料を求める施設が多いので揉めるだろう、という言い方が正しいのでは。そもそも変更を受け付けていないところや、直前の変更だとキャンセル扱いとなってキャンセル料を請求するところもある。小さな旅館だと、やはり客商売なので『子供が急に熱を出した』などもっともらしい理由を言われれば、前日でも変更を受け入れざるを得ないということも出てくる。

 どこの旅館やホテルもキャンセル料を設定してはいるものの、特に小さな施設になればなるほど、予約者からキャンセル料を必ず取れるのかといわれれば難しいのが実情。もちろんきちんと払う客もいるが、いくら催促しても無視される場合もあり、そのたびにいちいちコストと労力をかけて法的手段を取ってもいられない。結局は泣き寝入りになってしまい、NG客リストに載せて次回以降の予約を断るというくらいの方法しか取れないケースも少なくない。

 キャパが小さい旅館では、前日や当日にキャンセルが入ると空いた客室を埋めることもできないので、その客室分の売上がゼロになるばかりか人件費やエネルギー費、食材費などが丸々損失となるので大きな痛手を被ることになる」(同)

 こうした泣き寝入りは大手ホテルでも起こるという。

「まだ電話で予約するお客さんも一定数おり、当日にキャンセルしたり姿を現さない場合、数万円のキャンセル料のために、いちいち法的手段を取ったり家にまで押しかけたりするのは割に合わないので、そこまではしないケースが多い。大きなホテルだと全体からみれば小さな損失なので吸収できるという面もある。

 結構あるのが、外国人客が客室のモノを持って帰ってしまうというケース。さすがにテレビなどの大型家電が盗まれることはめったにないが、高価なバスローブやペン立て、ティッシュのケース、小さな調度品などが持っていかれることは珍しくない。海外の住所まで取りに行くわけにはいかないし、日本の警察に通報しても埒が明かないので、結局は泣き寝入りになる」(同)

(文=Business Journal編集部)