漫画アシスタントは年収500万円も…漫画家、需要急増で「稼げる職業」?

 Webtoonのアシスタントの世界は、ものすごい格差社会で、自分が携わっている作品が売れるかどうかが大きいのは、紙でもウェブでも同じです。一方、紙媒体の漫画と違い、縦読み漫画は完全役割分業制での制作が主流です。紙媒体の漫画では作者がネームからコマ割りまで大まかなアウトラインをつくりますが、縦読み漫画では漫画家とアシスタントの境界があいまいで、原作者以外の担当をどこからアシスタントと名付ければいいのか難しいところです。というのも、Webtoon漫画は『原作(脚本)』『ネーム』『下書き・線画(ペン入れ含む)』『背景』『着彩(色塗り)』『仕上げ』とそれぞれ分業制になっているためです。

 紙媒体の漫画家や少数のアシスタントがこなしていた仕事を細分化、分割することで多くの仕事が生まれています。稼げるかどうかは、コンテンツそのものの人気の影響もありますが、どの部分を担当するかにもよります。例えば、制作会社のオリジナル作品であれば『原作』『線画』『ネーム』の担当で原稿料プラス印税が入ります。そのほかの担当の収入に比べると2倍くらいの差があります。特に『線画』は人手不足な印象があります」

漫画アシスタント、年収300万円ほどが相場

 では、賃金はどのような実態なのか。

「青年コミックの漫画家であれば、平均的な原稿料は1ページあたり1万円前後で月30~40ページの連載をこなして月収30~40万円、年間の原稿料は360~480万円といったイメージです。そう聞くと少なく感じられますが、電子コミックは電子印税が入ってくるので、そこそこ・中レベルのヒットを出し続けている作家さんなら前述した原稿料360~480万円に加え、印税だけで年間1000万円、合計した年収は1500万円ほどという人もいると思われます。大手電子書店でセールスランキング1~10位に入るような作品を描いた作家はマンションが買える、なんていわれてもいます。

 漫画のアシスタントは個人事業主の漫画家さんから業務委託される構造なので、相変わらず基本的には最低時給ベースです。時給1000円~、日給1万円~なので、年収300万円ほどというのが相場でしょう。漫画のアシスタントは個人事業主の漫画家さんから業務委託される構造なので、相変わらず基本的には最低時給ベースです。時給1000円~、日給1万円~なので、年収300万円ほどというのが相場でしょう。webtoon案件であれば、時給換算2000~3000円くらいでできる仕事もありますが」(漫画編集者)

 また、漫画アシスタントはいう。

「『原作』『線画』『ネーム』担当は1話あたりの換算で報酬が支払われ、そのほかのアシスタントはページあたりで原稿料が出るパターンが多いです。『原作』『線画』『ネーム』担当は1話あたり3~6万円くらいが相場です。複数作品を掛け持ちしていれば、その分、稼ぐことができますが、非常に多忙となります。週刊連載であれば1話あたりのコマ数は60~70コマで、それを1週間で仕上げるのは、かなりの激務です。1カ月で4~5話納品することになり、手の早い人でないと厳しいというのが実情ですが、年収500万にまで上がったアシスタントもいます。

 稼ぐための必須のスキルは、タイパを意識して、完成度を下げずに、うまく手を抜けるかどうかです。早く終わらせれば終わらせるほど時給が上がることになるので、とにかく作業の速さが求められます。そして稼げるかどうかは、かかわった作品がヒットするかどうかという運と、その人のスキル次第ということになります。紙媒体の漫画と同様に厳しい世界であることは間違いありません」

(文=Business Journal編集部)