国立競技場、ドコモなど出資の企業が運営へ…「稼げるスタジアム」へ転換の戦略

国立競技場
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●この記事のポイント
・国立競技場の運営事業、JSCからNTTドコモなどが出資するジャパンナショナルスタジアム・エンターテイメントに移管
・JNSEは「グローバル型のビジネスモデル」を導入して“稼げるスタジアム”に転換
・パートナーシップ事業とホスピタリティサービス事業によって、貸館事業以外の柱を設けて収益機会をつくっていく

 国立競技場の運営事業が、独立行政法人日本スポーツ振興センター(JSC)から、NTTドコモなどが出資するジャパンナショナルスタジアム・エンターテイメント(JNSE・東京都新宿区)に4月1日、移管された。JNSEはJSCから運営事業を委託されるかたちで、契約期間は31年間、運営権対価528億円である。これまで国立競技場は赤字を公費で補てんしていたが、JNSEは「グローバル型のビジネスモデル」を導入して“稼げるスタジアム”に転換し、自立を図っていく。具体的にどのような戦略・計画を描いているのか。JNSEに取材した。

●目次

JNSEとJSCの契約期間は31年間、運営権対価528億円

 さる4月1日、東京・千駄ヶ谷の国立競技場で入社式が開かれた。開いたのはNTTドコモグループで、約1500名の新入社員に加えて、コロナ禍でオンラインでの入社式を余儀なくされた2020~23年度入社の社員が参加した。この日は出席した社員だけでなく、NTTドコモにとっても特別な1日だった。同社が出資するジャパンナショナルスタジアム・エンターテイメント(JNSE・東京都新宿区)が、独立行政法人日本スポーツ振興センター(JSC)から受託した国立競技場の運営事業を開始する初日である。

 JNSEは国立競技場の運営事業を担う特別目的会社として、NTTドコモのほかに、前田建設工業、SMFLみらいパートナーズ、日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)が出資。代表取締役社長には4月1日付けで、西武ホールディングス広報部ジェネラルマネジャーなどを歴任し、横浜アリーナ常務取締役でもある竹内晃治氏(59)が就任した。JNSEとJSCの契約期間は31年間。運営権対価528億円である。

 竹内氏は「国立競技場は、歴史と伝統を誇り、スポーツファン、アスリート、アーティストにとって特別な存在。民間視点のノウハウを活かし、革新的な取り組みとさらなる効率化を図り、世界トップレベルのナショナルスタジアムへとスタッフ全員で進化させていく」と抱負を述べる。

 JNSEはスポーツイベントや音楽ライブを中心に年間最大130日のイベント開催と、延べ約 260万人の来場を目標に掲げているが、この目標数に対して開催件数が少ないのではないかという見方もあるようだ。

 国立競技場のホームページには今年11月までイベント開催予定がアップされている。4月は「JAPAN FOOTBALL LIVE2025 デフサッカー男子」「明治安田J1リーグ」「Snow Man 1st Stadium Live~Snow World」など5件(7日)、5月は「明治安田J1リーグ」「セイコーゴールデングランプリ陸上2025東京」など6件(5日)、6月は「NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25」が1件(1日)、7月は「日本陸上競技選手権大会」が1件(3日)、9月は「世界陸上」が1件(9日)、11月は「キリンチャレンジカップ」など2件(2日)。8月と10月は開催予定が入っていない(2025年3月末時点)。