「自動翻訳や読み上げ機能、AIによる支援など、どんどん機能は増えていますが、それは“どんな課題をどう解くか”を一つひとつ考えてきた結果です。テクノロジーは、利用者の課題に寄り添って進化しているのです」と鈴木氏は語る。

最近、鈴木氏が地方でよく耳にするのは、「スキルアップに応じて給与を払いたいが、その原資がない」という経営者の悩みだ。人件費の上昇、採用競争の激化、そしてノウハウの流出。多くの企業が今、初めて“仕組みの必要性”に本格的に向き合い始めている。
こうした中で、「Teachme Biz」のようなツールを導入する企業も着実に増えている。さらにスタディストは今年、BPO事業者(Business Process Outsourcing/業務プロセスを専門的に外部委託する事業者)をM&A(合併・買収)し、マニュアル整備にとどまらない“業務の合理化支援”にも乗り出した。
重要なのは、「テクノロジーを導入すること」そのものではない。人口減少が進むなかで、再現性のある仕組みをどう構築し、いかに業務を回していくかという発想を、企業が本気で受け止められるかが問われている。
現場に埋もれている知識を形式知として残す。人に頼らずに、誰もが教えられる仕組みを持つ。それは今、あらゆる企業にとって“生き残るための前提条件”になりつつある。
(寄稿=相馬留美/ジャーナリスト)