しかしその一方で、利用者と企業の間でトラブルになるケースも報告されており、法的リスクの所在が曖昧なまま成長してきた側面もある。今回のモームリへの捜査は、こうした市場全体に対し「適法運営の線引きをどこに置くか」を問い直す契機となりそうだ。
現時点では、アルバトロス社や谷本社長が法的な処分を受けたわけではなく、警視庁の捜査も「疑い」の段階にとどまっている。
今後、同社の業務内容や弁護士との関係性、報酬の授受の有無がどのように立証されるかが焦点になる見通しだ。
退職代行サービスは、働く人の心理的・時間的負担を軽減する一方で、法規制の空白地帯にも足を踏み入れている。今回の捜査が、利用者保護と業界の健全化をどのように両立させる方向に進むのか、注目が集まっている。
以下、3月6日付当サイト記事『弁護士「モームリは非弁行為で違法では」→社長が反論し話題…退職代行への誤解』を再掲する。
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利用者が急増している退職代行サービス「モームリ」について、ある弁護士が非弁行為に該当するため弁護士法違反に該当するのではないかとX(旧Twitter)上にポスト。これに対しモームリ運営会社アルバトロスの谷本慎二社長がX上で「説明しましょうか?」と反応し反論。SNSという公開の場で、弁護士から次々に出される質問に回答して“ラリー”が展開されている件が話題を呼んでいる。弁護士等でない者が法律的な問題について、本人を代理して相手方と交渉することは非弁行為に該当するが、谷本社長は「そもそも弊社は企業側と交渉はしないので、非弁行為には該当しない」と説明する。谷本社長に詳細を聞いた。
労働者本人がなんらかの理由で所属会社に直接、退職の意思を告知することを避けたい場合に、それを代行してくれる退職代行サービス。そんなサービスを社会的にポピュラーな存在にまで押し上げたといえるのがモームリだ。昨年8月の時点で、2022年3月の事業開始からわずか2年4カ月で相談件数2万8000件、退職代行実施件数1万5000件を突破。利用によって蓄積された膨大なデータの公開に積極的なのもユニークな点で、昨年8月には利用者1万5934人分について、退職代行利用の経緯・退職理由、性別・年代別利用者数、職種別利用者数、勤続年数別利用者数、退職金制度の有無、複数回退職代行を利用された企業などを公開。今年2月には、最も多く利用された企業40社を発表(1位:人材派遣会社、2位:コンビニチェーン、3位:人材派遣会社)して話題を呼んだ。
「非弁行為に該当するか否かという話ではないんです」
そんな同社のサービス内容について、ある弁護士が非弁行為に該当しているのではないかと指摘し、議論を呼んでいる。
モームリの利用イメージはこうだ。退職の意思を持つ利用者は退職代行業者と打ち合わせを行い、業者が利用者の所属会社に退職の意思を連絡。退職届の提出や会社からの貸与品の返却、オフィスに残っている私物の返却など必要な手続きは郵送で行い、退職が確定する。利用者本人が会社と直接やりとりすることなく退職に至る。サービス内容については弁護士の監修を受けており、労働組合法適合の資格証明を受けた「労働環境改善組合」と提携しており、労働組合の組合員が団体交渉権を持って企業と交渉を行うため、企業側は原則これを拒否することはできないという。料金は正社員・契約社員・派遣社員・個人事業主は2万2000円(税込)、パート・アルバイトは1万2000円。退職できなかった場合は全額返金される。