再エネ融資が将来「負の遺産」に変わるシナリオは、決して絵空事ではない。
1.金利上昇リスク
金利正常化が進む中、変動金利で借り入れた事業者の採算は急速に悪化する可能性がある。
2.設備老朽化リスク
20年のFIT期間終了後、メンテナンス費や撤去費用が重くのしかかる。
3.出口戦略の欠如
採算が崩れた設備は、担保価値を失い、地方に放置された「粗大ゴミ」と化す恐れがある。
金融とエネルギーの専門家は、地銀の再エネ融資について一様に慎重姿勢を崩さない。
■「事業評価能力」の限界
戦略コンサルタントの高野輝氏はこう指摘する。
「融資担当者が、日照や風況データの妥当性を自力で検証できるケースは多くありません。メーカー提示のシミュレーションを前提にした融資は、実質的には“業者信用”に近い」
■出力制御が崩す収益モデル
高野氏は、送電網制約を最大の盲点と見る。
「九州や東北では出力制御が常態化しています。FIT価格が固定でも、売電量が減ればキャッシュフローは成り立たない」
■「座礁資産」化の恐怖
金融アナリストの川﨑一幸氏は、FIT終了後をこう警告する。
「21年目以降に修繕資金が枯渇すれば、再エネ設備は一気にストランデッド・アセットになる」
再エネ投資の拡大は、脱炭素社会に不可欠だ。しかし、それが融資ノルマや利回り至上主義に堕すれば、地域金融に深刻な爪痕を残す。
地方銀行はいま、単なる資金供給者から、事業の持続性を見極める「伴走者」へ進化できるかを問われている。再エネを地方の打ち出の小槌にするのか、それとも時限爆弾にするのか。その分岐点は、地銀が「看板」ではなく「実態」を見抜く力を取り戻せるかにかかっている。
(文=BUSINESS JOURNAL編集部)