「制度として“選択”できる余地があった時代の情報がネット上に残っています。ですが今は、所得税で確定した内容が住民税や保険料に反映されやすく、年金生活者ほど“昔の常識”で動くと損をします」(同)
では、どう立ち回るべきか。判断のポイントは、税金だけを見るのではなく、出口のトータルバランス(手残り)で勝敗を決めることだ。
①あえて「申告しない」という合理的選択
国保加入のシニアや、扶養・軽減の境界線付近にいる人ほど、特定口座(源泉徴収あり)で納税を完結させるのが安全策になる。申告しなければ、少なくとも“申告したことによる所得増”は発生しにくい。
②「新NISA」を徹底活用する
NISA口座内の売買益や配当金は非課税であり、原則として確定申告の対象にならない。社会保険料への影響を避けやすい点で、シニアにとって極めて強い防衛策となる。
③申告するなら「事前試算」を必須にする
損失繰越などで申告が必要・有利になることもある。その場合は、自治体HPの試算ツール等で「所得がいくら増えると保険料がどう変わるか」を必ず確認したい。
検索キーワードはシンプルでいい。
「国民健康保険料 算定 〇〇市」
「国民健康保険税 試算」
「介護保険料 所得段階 〇〇市」
「節税」という言葉には抗いがたい魅力がある。だが日本の制度は、税制と社会保障が複雑に絡み合っている。所得税を1割減らした結果、国保料・介護保険料が2割増えるなら本末転倒だ。
確定申告書を提出する前に、一度立ち止まってほしい。その一筆が、あなたの老後資金を増やすのか、それとも自治体への納付金を増やすのか――答えは「税」ではなく 手残りでしか見えない。
本当の意味で賢い投資家とは、株の損益だけで勝敗を決めない。所得税だけでも判断しない。社会保険料、自己負担割合、給付条件まで含めた「家計の最終利益」で勝つ人のことである。
(文=BUSINESS JOURNAL編集部)