ナフサショックで住宅が完成しない…中東危機が引き起こす新築遅延と建材値上げの全貌

国際情勢と直結した「構造的な問題」

 こうした状況のなかで、家づくりを進める方(施主)が今できる備えは何か。

 まず工期バッファの再設定が急務だ。住宅ローンのつなぎ融資を利用している場合、当初の引き渡し想定から3〜6カ月程度のズレを前提に融資期間の設定を金融機関と協議しておくことが現実的だ。現在の住まいを退去する時期についても、同様に余裕を持たせる必要がある。

 次に仕様の早期確定と代替品の事前合意。住設メーカー・グレード・品番を早期に確定させ、万一欠品が生じた場合の代替品についても施工会社と事前に書面で合意しておくことが、後のトラブル回避につながる。見積書の有効期限が現在2週間程度に短縮されているケースも多く、価格決定のタイミングも以前より慎重に判断する必要がある。

 今回の混乱は、特定の企業の判断ミスや一時的な需給バランスの崩れではない。中東の地政学リスクが、日本の住宅建設に不可欠な石油化学原料の供給網を直撃するという「川上から川下への連鎖」が現実に起きている。

 2021年のウッドショックは供給回復とともに数年で落ち着いた。しかし今回の「ナフサショック」は、国際情勢そのものが解決しない限り根本的な改善は見込みにくく、構造的な問題として長期化する可能性がある。

 施主と施工側が現在のリスクを正確に共有し、代替案を早期に協議する——その地道な対話こそが、2026年現在の住まいづくりにおける最も現実的な防衛策である。

(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=伊藤健吾/不動産アナリスト)