「手入力が消える日」は本当に来るのか…Claude×freeeが変えるバックオフィスの未来

「どうせ2、3年たったらほぼ全員使うと思うので、1日でも早く使ってみたらいい」

セキュリティ、海外製AI、そして仕事の未来

 Q&Aセッションでは、データセキュリティや海外製AIのリスクに関する質問が相次いだ。

 データが外部に漏れないかという問いに対し、菅野氏は「オプトアウト設定でトレーニングはされない。ただ、包括的に考える必要がある」と答えた。茶圓氏はより実務的な視点から、「SaaSを使っている時点で各社にデータは行っている。社内規定を作りプライバシーポリシーを照らし合わせて、経営判断として使うかどうか決めること。利便性とセキュリティはトレードオフです」と補足した。

 海外製AIを使い続けるリスクについては、菅野氏がクラウド黎明期と重ねた。「10年前、クラウドに対して危なくてしょうがないという抵抗があった。それが使ってくうちに傾いてきた。少し過剰に反応しすぎなのかなという感覚はあります」

 ホワイトカラーの仕事はなくなるのかという問いに対し、茶圓氏は日米の違いを指摘した。「アメリカは解雇しやすいのでどんどん減っている。日本は労働者が守られているので解雇できないが、社長は人を減らしたいと皆口を揃えている。新規採用を止めていけば中長期で自動的に減っていく」。菅野氏は別の角度を示した。「コスト削減のコンテキストだけで語られるのはもったいない。プロトタイプのリリーススピードを上げるとか、プラス側の議論も入ってくるといい」

「AIが社会全員を管理職にしていく」という問いへの答えは、どこか含みがあった。菅野氏は「マネジメントやリーダーシップも、かつては教えられないと言われていたのにビジネススクールができた。AIの時代に向けた新しい教育プログラムがこれからどんどん出てくるんじゃないか」と語った。

「感動は人で、無駄はデジタルで」——会場には宮島で観光業を営む経営者のこんな言葉が映し出されていた。繁雑な裏方仕事をAIに任せることで、人にしかできないもてなしに集中できる。それが「手入力が消えた」先に見える景色だ。

 AIが何でもできるわけでも、何もできないわけでもない。データを整え、業務のルールを言語化し、優秀な新入社員を育てるように向き合う。その地道な積み上げが、バックオフィスを変えていく。

(取材・文=昼間たかし)