「手入力が消える日」は本当に来るのか…Claude×freeeが変えるバックオフィスの未来

 2日前に飛騨高山100kmマラソンを14時間で完走し、「AIが出てきても最後に残るのは長距離を走り切る力」と会場の笑いを取った青山翔平氏は、今年4月から実際に顧客先に常駐し、Claude×freee-mcpによる業務改革の最前線に立ってきた。

 青山氏がAIを表現する言葉は「めちゃくちゃ勉強ができる新入社員」だ。ネットで調べられることは何でも知っていて、50個アイデアを出せと言えば即座に50個出す。しかし、御社のログイン方法も、管理会計の考え方も、勤怠のルールも、何も知らないド新人でもある。

「だからこそ、教えて育ててあげる必要があります」

 freeeは2018年からAPI戦略を取り、現在382件のAPIを公開している。AIが業務システムを操作するためには、画面上のボタン一つひとつに対応するAPIが必要だ。この数は他社の数倍規模だという。

「AIが活躍するためのAPIが日本一なので、スモールビジネスの皆様がバックオフィスを変えていくとき、今の段階ではfreeeを選択いただくのは間違いない状況です」

 もっとも、AI活用の優位性はAPI数だけで決まるものではなく、実際には業務フローの整備やデータ品質、他システムとの連携環境なども重要な要素となる。

 実演で見せたのは、建替経費精算の自動登録だ。チャットで「建替」と打つと、AIが対象事業所・従業員名・振替日を順に確認してくる。ここでポイントになるのが、人間が無意識にやっている判断の言語化だ。「6月15日に前月末の精算をする場合、5月31日付で登録する」という当たり前のルールも、AIには明示的に教えなければわからない。教えれば、毎回同じように処理してくれる。

 さらに、受け取った領収書の確認画面の設計にも工夫があった。「人間が紙をチェックする時は左上から右下へと視線が動く。その並び順で出してください」と指示すると、Claudeはその通りの確認UIを返してきた。AIを育てるとは、こういった”当たり前”を丁寧に言語化していく作業だ。

 もう一つの事例が工数按分の自動仕訳だ。「プロジェクト太郎の5月の給与を、工数に応じて振替伝票を打ってください」という一文だけで、AIは給与データと工数データをそれぞれ取得・突合・計算し、仕訳まで完了した。手作業であればExcelと会計ソフトを行き来していた作業が、ワンライナーで終わる。

「スキル」として保存しておけば、次回以降は同じ指示で同じことをやってくれる。育てた成果が資産になるのだ。

請求書も財務レポートも自動化――デジライズ社内の現在地

 創業3年未満で560社以上のAI導入支援を手がけ、自身は毎月173億トークンをClaudeCodeに投入するという茶圓将裕氏は、自社の実践事例をテンポよく紹介した。

 まず請求書。GmailとClaudeCodeを連携させ、「メールが来たら自動で請求書の下書きを作っておいて」と設定している。気づけばGmailの下書きフォルダに出来上がっている、という世界だ。

 財務レポートは毎日自動配信している。freeeとSlackをClaude経由で繋ぎ、営業・採用を含む全部門の財務数値を毎朝送付する。Salesforceも連携済みで、「この数値が下がっているのはなぜ」と聞けばその場で分析結果が返ってくる。「定例会いらないんじゃないか」という感覚だと言う。

 さらに、freeeのデータとSalesforceの営業データ、手元の事業計画書を一括して読み込ませた財務アドバイザー的な使い方も紹介した。「下手な税理士より詳しい回答が返ってくる」と茶圓氏は笑いを交えながら話した。