ゲオHD、7カ国目・カンボジア進出…なぜセカンドストリートは世界で伸びているのか

なぜ海外で「セカスト」は支持されるのか

 セカンドストリートが海外で伸びている理由は、単に「安い」からではない。むしろ現地では、状態の良いブランド品やデザイナーズブランドを扱う「セレクト型リユースショップ」として認知されている面が大きい。

 アメリカでは2018年、ロサンゼルスのメルローズ地区に1号店を出店した。その後、複数の州にまたがって店舗網を広げており、客単価は日本の約2倍とされる。コムデギャルソンをはじめとする日本発のブランドが、現地では相応の高値で取引されているという報道もある。台湾では2024年6月末時点で30店舗を展開し、当初の郊外立地から商業施設内への出店へと戦略をシフトしてきた。もともと古着文化が根付いていなかった地域だからこそ、逆に競合の少なさが追い風になったとの見方もある。

 戦略コンサルタントの高野輝氏は、次のように指摘する。

「海外、とりわけ欧米やアジアの都市部では、サステナビリティやサーキュラーエコノミーへの関心の高まりを背景に、リユース市場そのものが拡大しています。そこに『日本発』というブランド価値が加わることで、セカンドストリートは単なる中古品店ではなく、品質管理が行き届いた信頼できる店という評価を得やすい。真贋管理や商品状態の均質性は、海外の消費者が古着や中古ブランド品を買う際に最も懸念する部分であり、そこに応えられている点が強みでしょう」

 カンボジアへの進出も、この延長線上にある。若年層人口比率が高く経済成長が続く東南アジア市場において、手頃な価格でファッション性の高い商品を購入したいというニーズは今後も伸びる余地があるとみられる。同社にとって、進出先の選定は闇雲な拡大ではなく、都市化の進展度や中間層の購買力、既存進出国での成功パターンを踏まえた、比較的堅実な判断の積み重ねといえそうだ。

国内で買い、世界で売る―在庫循環システムの正体

 ゲオHDの海外展開を支える最大の武器は、日本国内に築き上げた圧倒的な買取ネットワークだ。セカンドストリートは2025年4月に国内外累計1,000店舗を突破しており、内訳は国内880店舗、海外100店舗超(米国47、台湾39、マレーシア23、タイ4)となっている。この国内店舗網が、日々大量の中古品を買い取る「入口」として機能している。

 この仕組みが利益を生む理由は、商品ごとの需給ギャップにある。国内では値がつきにくい、あるいは在庫が積み上がりやすいアイテムでも、ブランド認知や希少性の異なる海外市場に回せば、高い粗利益率で販売できる可能性がある。実際、海外事業の売上高はここ数年で急拡大しており、米国事業だけでも2021年度の約20億円から2023年度には80億円超と、4倍近い伸びを記録したとされる。

 もうひとつの強みが、査定業務の標準化だ。中古品ビジネスの品質は、突き詰めれば「誰が、どう値付けするか」に左右される。ゲオグループは独自のデータベースと査定システムを整備することで、経験の浅いアルバイトスタッフでも一定水準の適正査定を行える体制を構築してきたとされる。属人的な目利きに依存せず、店舗を増やしても品質を保てる仕組みは、多店舗展開を前提とする海外進出との相性がいい。

「リユース業は、拠点が増えるほど査定のばらつきという課題に直面しやすい業態です。ゲオの場合、国内で長年かけて磨いてきた査定の標準化と、それを支えるシステム投資があったからこそ、海外でも一定の品質を保ったまま出店スピードを上げられている。単なる店舗展開ではなく、オペレーションごと輸出しているという見方もできるでしょう」(同)

 決算面でも、この構造転換の成果は数字に表れている。2026年3月期の連結売上高は4,812億円(前期比12.5%増)、営業利益は142億円(同26.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は87億円(同92.6%増)と大幅な増収増益となった。なかでもリユース事業の売上高は1,552億円(同17.6%増)に達し、国内64店舗の新規出店に加え、シンガポール・香港への進出が寄与している。