グーグル、フィンランドに2.3兆円投資…ロヴィーサ原発22年契約の裏側

 電力インフラの整備がこのペースにとどまれば、次の大型投資判断の局面で、巨大IT企業がフィンランドや北米、あるいは電力に余裕のある東南アジア諸国を選び、日本を素通りするという展開は十分に起こりうる。そうなれば日本は、AIを生み出す側ではなく、他国のインフラで生成されたAIサービスを利用する側にとどまり続けることになる。

「日本には土地も冷却水も揃っている。足りないのは送電網への投資判断のスピードと、電力会社が長期契約に踏み切れるだけの制度的な後ろ盾だ。電源の中身が再エネか原子力かという議論の前に、まず『長期で電力を売り買いできる市場』を整えることが急務ではないか」(同)

画面の中(ソフト)から、現場と物理(ハード)へ

 AI時代の競争力は、モデルやアルゴリズムの優秀さだけで決まるわけではない。電力、土地、送電網、そしてデータセンターの安定運用という、地味で泥臭い物理インフラをどれだけ確保できるかが、次第に競争の帰趨を左右する要素になりつつある。

 グーグルの2.3兆円規模の投資と22年に及ぶ原子力PPAは、フィンランドという一国のニュースにとどまらない。エネルギー政策とデジタル戦略を一体で設計できるかどうかが、その国の産業競争力そのものを左右する時代に入ったことを示す一つの事例である。

 日本にとっても、送電網の増強や電力市場の制度整備をどこまで速く進められるかが、今後のAI投資を呼び込めるかどうかの分水嶺になるだろう。原子力を使うか再エネで賄うかという電源選択の議論以前に、「長期で電力を確保できる仕組み」そのものが整っているかどうかを、世界の投資家はすでに見ている。その視線に日本がどう応えるかが、次の10年の産業競争力を静かに、しかし確実に規定していく。

(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=佐伯俊也/エネルギー政策研究家)

【主な参照データ・出典】
Fortum – Inside information: Fortum and Google partner to sign nuclear PPA
Google – Google deepens its commitment to Finland with €13 billion investment